金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

フルーツコウモリ

もうずっと昔ですが東京の東中野に動物堂さんという動物やさんがありました。珍しい動物がいっぱいいましたがペットやさんと云うと店主の気持ちには合わないので動物屋さんとしておきます。
主人はAさんと云う芸術家ですが極めて面白い人でした。
そのうち店をたたみでかいフクロウの雛とともに田舎に引っ込んでしまいましたがこの他人には今考えると独特の深い悟りがありました。
ここでル-セットフルーツコウモリというのを買ったことがあります。
フルーツコウモリと云うのは文字通り果物だけ食べてるコウモリで普通のコウモリのように虫は食べませんが週一回くらい子猫用のミルクを少々まぶしてやると長生きするという口伝があります。世界中で色々な種類のフルーツコウモリがいますが大体が昆虫食のコウモリに比べて大きいのが多いようです。東南アジアではこれを食用に捕まえて食べている国もあります。
オーストラリアのケアンズに行ったとき樹上でキイキイと鳴いてインコと喧嘩しているのを見ました。顔が狐みたいなのでフライングホックスといいます。
可愛らしい羽の生えた小さい狐のような感じでしょうか。
「時々飛ばしてあげるといいですよ。」というのでさてどこで飛ばそうかそんな広いとこはないけど…・というと「本堂は?」とのこと。「本堂はまずいでしょうよ。仏様にコウモリが止まったりしたら罰当たるかも。」といったら「仏様はそんなことで罰なんて当てないでしょう。」と笑われました。
私は正直一本とられたと思いました。大変恥ずかしくさえ思いました。
「仏様はそんなことで罰なんて当てないでしょう。」 実は私もそう思っていたからです。
そんなことで本当に罰が当たるなら石仏の上を歩いているカタツムリやげじげじやアリンコはすべて罰があったてしまいますから。
自然の生き物に悪意はありません。浄、不浄があるのは人間の心とそこからでる行いのみです。
もちろん放したら捕まえるのも大変だし、フンが落ちても困るので、その後、本堂でコウモリは飛ばしませんでしたが、うちでは蛾などでも殺しません。殺す理由がないからです。跳んで来たら外に逃がしてやるのが通例です。
「気持ち悪いから殺す。」これはいじめにもつながるとてもよくない心です。
そういう心にはとても強い反感を感じます。
其の頃、毎度庭をよく掃除してくれた信者さんがいて、「大きな芋虫がいるので殺虫剤をください。」という信者さんがいましたが、殺生はいけないので殺さないようにといったらあきれたのかそれきり庭掃除にはお出でにならなくなりました。(笑)
あきれる気持ちも理解できなくはありません。ただし、世間的はどうか知りませんが私はそういう流儀です。