金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

サギが飛来したお話

時々悪いやつにひどい目に逢っています。助けてくださいと云うお手紙がきます。
大概どういうわけか。手紙です。相談には来ません。
まあ、とんでもない遠くの人もいないこともないのでそういう人は別ですが、たとえ関東圏でもお出でにはなりません。
手紙の相談には原則一切返事しませんが、「お前人が困ってたら助けるのが坊主だろ!」と思う人もいるでしょうね。
事情によってはそうすることもありますが、なぜそうしないのかと云うと、第一に手紙と云うのは一方的で誠意がないからと思うからです。
相談料も何も払わずにいてこちらに返事を出す義務があると思っているようですがお出しする義理はありません。ですから普通は相談の手紙に対しては返事は出しません。
それも多くは自己紹介も前置きの挨拶もなくいきなり内容に入ります。返信用の切手も封筒も同封無しです。
先ずそういう人は常識がないのだからトラブルになっても仕方ないですね。
多分まずいこと自分もしたんでしょうよと思ってしまう。
「失礼な!」と思うかもしれないけどこれ仕方ないです。頂いた手紙のほかにその人を語る資料は何もないのですから。
第二に「一方聞いて沙汰するな」ということがあります。片方の言い分だけ聞いて味方する人が欲しいなら弁護士さんがいいのです。弁護士はそういう「依頼者に味方する」義務があります、
此れも勿論引き受ければの話ですけど。
相談者の段階ではそれはありませんのでお間違いなきよう。
僧侶にそう云う義務はありません。味方できないことは味方しません。それが僧侶の義務です。
依頼者の人となりも全然判らない、顔すらわからない。その上良く事情が把握できていないのにその人から相手を懲らしめてくれとか調伏してくれなんて言われてもどだい無理です。

こういう話がありました。
私のよく知るご住職に「悪人退散」の祈願をやたらと頼む女性がいました。でも事情を知って驚くのはこの女性自体がサギのようなことをしていてそれで追われているのです。
素人さんは勿論、やくざの大親分からホストまでだまして大金をせしめ、一流ホテルを渡り歩いて逃亡しているのです。
悪人は当の本人だったのです。
週刊誌ネタにもなっていてご住職も真相を知って追い出しました。

そのサギがなんと拙寺にもやって来たのです!
それも僧侶だと言って法名までなのってきました。それも聞くだに怪しい法名です。たぶん自分でつけたのでしょう。
やってきて開口一番なにを言うかと思ったら「先生、わたし・・・先生のお弟子さんに騙されちゃったんです・・・。」ときた。
「へえ、だれ?」「・・・カトウサンです、」「知らんな、そんな名前の弟子は、」
それから今度は長野にえらい広い土地をもっていてこれからお寺立てるだの、由緒正しい摩利支天さんを持っていてどうのこうのといいます。
一区切りついたとこで「あんた○○先生のとこの信者じゃないの。」と聞いたら「私、○○先生にちょっと誤解されて追い出されてしまったの。」とのこと。
聞けばうっかりお札を踏んでしまったので追放とのこと。全然、悪気なかったのですという。(御札って下に置かないのにどうやって踏むの?)
「そりゃあかわいそうに。・・・でもね、幸いこの後の予定が丁度○○先生が来るんですよ。よかったね。私が仲にはいって誤解解いてあげようか?」と云ったらにわかに血相が変わり「時間がないので」とかいって、そそくさと御付きの人の車に乗って逃げていきました。
実は嘘なんですけどね。
「ざまあみろ。おとといきやがれ」です。
私は動物は好きですが、こういうサギの飛来だけはお断りですね。

なかにはこんな人もいます。
ですから申し訳ないけど一方の話だけとか、ましてや手紙だけじゃわからないのです。ご理解ください。