金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

宇賀神修儀

宇賀神さまをご存知ですか?人面蛇体の神様で弁才天の化身。
普通は弁天様のおつむの上にとぐろ捲いて載っています。
今日はその宇賀神さまの伝法、はじめ二人だったのが当日になって結局四人になりました。こういう者は縁のものだから御縁のある人は呼ばれるようですね。
宇賀神修義は六段の祭文から成る宇賀神の祭儀でこれが終わらないと弁才天浴酒はできないのが本義ですが、浴酒はしても修儀は最近ではあまりやらないようですね。
先ず道具立てが大変です。古い中国のお金やら秘密の土やら籾やら御幣やら太刀やら色々いります。壇の上は満杯になりそうです。
勿論、行も大変で難行の部類と言って良いでしょう。
覚悟がないととてもできません。念誦する真言も長いし、これを一日一回108日やって後の一週間でまた108か座集中してやります。全部で215日かかりますから巳の日から始めて亥の日に終わります。
宇賀神は弁才天の化身で大地の精霊、一年でも巳の月の5月に天から下り、11月の亥の月に転移登って帰ります。天では日輪中にましまして弁才天になっています。
よく聖天講式でいう「加すまじきに加するはこの天の別願なり。」とありますね。
つまり本来は運命上授かれないご利益をも頂けるのは聖天さまということです。
でも、この誓願は宇賀神のも同じようです。修儀にもその旨出てまいります。
鎌倉時代に修儀を編み出された謙忠阿闍梨様は江の島弁才天に参籠してこの法を感得したと言います。彼の口癖が「加すまじきに加するは・・・」だったそうです。
もっとも興教大師の「聖天講式」にもこのくだりはあり、こちらの方が覚鑁様の御作だとしますが実際は1215年に覚愉と云う方が作成されたようです。
古さではこちらのほうが古いですね。平安時代末期ですから。

宇賀神さまは良くも悪くもドカンと来ます。
天罰もご利益もそうです。
女の神様の化身だから優しい天尊だろうなどとナメていると大変な目に逢います。
私に授けてくれた阿闍梨様は宇賀神について「聖天さんより怖い」といっていましたが・・・。
聖天様を拝む人には二次的に弁天信者もなかなか多いようです。
長年聖天様を拝んできたある老阿闍梨様も「聖天様と弁天様はよくあう」とおしゃったとか。
因みに私自身の守護神として尊崇しているのも宇賀弁才天です。
聖天様が表なら私の場合は個人的な裏信仰です。
昨日はさる名刹にお勤めの方も来られましたが、そちらの弁才天様もなかなか強い御力があります。私もお参りしました。知る人ぞ知るという存在です。
弁才天の霊威の一つとしてよく御燈明が蛇腹を描いて蝋を流します。
ミイサンですね。さらに修儀伝法の阿闍梨様のところでは大蝋燭が蛇体を成して本当のヘビみたいでした。
金剛経の提唱をしてくれた林天朗居士も、そのお師匠様の濱地天松居士も弁才天信仰です。
濱地先生所持の弁才天像は二臂で玉と剣を持つお姿だったらしい。
これは宇賀神とも言っています。
 
私にとっての弁天様は普段は何も言わないでじっと見ている感じの天尊です。
良くも悪くも黙っています。いよいよの時にはお働き頂く感じですね。
守護神と云うのは甘くないですよ。霊的な師匠ですからね。
プレゼントどっさりのサンタクロースまたいなものじゃないです。
霊的に成長させるためにはむしろその人を窮地にも立たせることすらあります。
それが守護神です。
守護神ついたら願いや儲けがドサドサ叶うと思っているのはトウシロウ(素人)です。普段は表にも出ません。

でも、その守護神を大金出せばつけてあげると商売している人もいるようですからそう思う人がいないと困るのかもね。
もう十数年ほど前ですけど「守護神つけて欲しいんですけど・・・。」と云う電話がありました。
「そんなのできませんよ。」というと「エ、密教阿闍梨さんじゃないんですか?」と聞く。
「一応そうですが、でもね。密教系寺院の住職はだいたいそうです。皆、阿闍梨さんですよ。阿闍梨さんですけどそんなのできませんよ。」というと「いや…だって阿闍梨さんは普通そういうことできるんじゃないんですか?」
そこで逆に「できるという人がいますか?」というと、だれだか知らないけどそういう人がいるらしい。
そもそも、どうしてそうしたいのか聞いたらご本人じゃなく息子さんに守護神つけて国立大学にいかしたいとのこと。普通に祈願するのは方々の神社仏閣でさんざんしたけど駄目だったという。斯くなる上は・・・ということらしい。
「そんなことをしても無駄なのでは?」といっても聞く耳持たない。もう守護神さえつけばいいのだと思い込んでいます。「もうこれしかないんです。」という。

「とにかく、私はそんなのはできないから頼むならそういう人に当たればいいじゃないですか?なぜうちなんです?」というと「そうなんですけど・・・・高いんです。そちらは。」
知ったことじゃあありません!
 
守護神が欲しいのなら真心からお願いすればいいのです。要は必至に口説くことです。
第一、皆「衆生無辺誓願度」とお誓いしているのですから。
お金払って買うような事は無用のことと思います。