金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

清浄華院の荼吉尼天

昨日は浄土宗の大本山清浄華院様で宿曜道の講義をしてきましたが、その折、荼吉尼天様を拝観させてもらいました。
以前から荼枳尼天様がお祀りされていることは知っていたのですがお尋ねしたら拝観できるとのこと。
私は荼吉尼天大好き人間ですので是非拝みたかったのです。
休み時間も終わりの方になって思い出してお話したため、拝観に行く時間がありません。
そしたらなんと特別のおはからいにて、わざわざお住まいの地蔵堂より大方丈にまでお運び頂いて拝ませてもらいました。ありえないですよね。勿体なし忝し!
吉尼天像としては50センチ以上あり、かなりおおきいものです。
作風も御顔も穏やかでとても良い江戸期のお像です。狐に乗った二臂、彩色像です。お陰で講義に来たほかの人たちも拝めました。
狐の後足の肉球がぷっくりして「可愛い!」とだれか言っていましたが、なるほどそうですね。
そして古い荼吉尼天の狐は耳はあんまり尖がっていないことが多いようです。
所謂イヅナタイプです。
ここに云うイヅナは飯縄権現のことじゃなく、霊獣のイヅナです。
狐の一種だと思われていたようですが、本当は狐の仲間でなくイタチの一種で正確にはイイヅナと云う動物が実際にいてそれがモデルなのです。実際にイイヅナは全長15センチから20センチくらいの小さい体ですから大変身軽で素早く神出鬼没の動物、それでいて自分より何倍も大きなキジやウサギを仕留めます。
冬には毛が変わって真っ白です。まるきりミニサイズの白狐のようにも見えます。
飯縄の法は世間ではこれを竹筒に入れて自在に操るのだといわれたようです。
イイヅナはイタチの類なので耳は狐のように尖らずにやや丸いのです。
江戸前期までは荼吉尼天の乗る狐はこちらの系統が割合多いようで半々くらいです。
江戸後期からは大いに隆盛を極めた三州の豊川稲荷や備中の高松稲荷(最上稲荷)が狐らしい狐に乗ることから尖がった耳の像が主流になります。
こちらの尊天は荼吉尼天としてはオーソドックスなタイプでとても上品なお像です。
ウ~ン、これは福が頂けますね。
但し稲荷信仰にありがちな自分勝手で悪どい祈願などはガガンとはねつけるでしょう。
仏像にも徳と云うのがあります。
荼吉尼天は荼吉尼天でどれも同じなのですが開眼した方の人品や目的によってそこに個性が生まれます。
こちらはかなりお徳のある方の開眼と見ました。
今回は拝観しませんでしたが他にも秋葉権現金毘羅権現など浄土宗のお寺には珍しい仏様が色々祀られているそうです。

講義ご参集の方々には深く御礼申し上げます。長時間ご苦労様でした。
来月はいよいよ最終講です。