金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

普賢延命と聖天様

当院の聖天様は六牙です。ほかにも京都の等持院さんのお像も木天ですが六牙ですね。
この六牙というのは実は普賢菩薩に関係します。
伝説では大自在天は釈迦の入滅に際し、蔑んで赴かなかったと言います。そこで降三世夜叉明王が出かけて行ってその傲慢さをへし折ったということですが、その際、踏み殺してしまったという。
弔問に行かないくらいで踏み殺すというのはあんまり乱暴ですが、そこで普賢延命が現れて彼らを蘇生したという後日談もあるらしい。この話の出典は知りませんが師匠がいろいろ調べていて教えてくれました。
他にも勿論これは比喩的な話ですが、大自在天を大きく踏み,烏摩后の顔を軽く踏むのは、大自在天は三毒の根本煩悩、烏摩后は微細の随煩悩を現わすゆえと言います。
また、大自在天は踏み殺されるとともに第八地の不退転地の境地を得たと言います。菩薩でいえば八地以上は大菩薩です。

チベットでは「度脱法」と云うのが伝説されていてドルジェ・タクという行者がこれをしたといいます。つまり調伏です。
ヤマーンタカ、日本でいう大威徳明王は法で、これで咒殺されると即、文殊の浄土に行けるのですって。大威徳明王は文殊さまの化身ですからね。
御浄土に行けるなら人間、どうせ死ぬのだからと思うと殺されてもいいような殺されたくないような感じです。
ただ殺すのではなく悪人が業を滅ぼせるので「度脱法」なのだそうです。
「文殊様は結構怖い菩薩なんだよ。」というのも師匠から聞きました。
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大安楽不空真実金剛像  拙寺蔵
 
降三世明王は普賢菩薩の化身ですからまあ、いったん殺しておいて、これじゃまずいと蘇生させたのですね。普賢菩薩は。
因みに聖天の女天は十一面観世音菩薩の化身ですが、男天はこれまた普賢菩薩の化身、本地は金剛薩埵ということです。
金剛薩埵は普賢菩薩の密教バージョンです。
普賢菩薩は顕教でもとっても重要です。
法華経の行法次第らしいものは法華経の八巻のうちにはなく、実は結経といわれる「観普賢菩薩行法経」に出てきます。これを実践風に編纂したのが天台大師の「法華三昧」です。
これは天台宗でやりますが、日蓮宗でもやるのだと聞きます。さらに略式にしたのが「法華懺法」です。
これはうちの宗派でも定番の次第です。
そういうわけで六牙は普賢菩薩に関係します。
普賢延命と云うのは普賢菩薩の延命の徳をパワーアップした仏様。
天台では二臂で三面の象さんに乗り、真言系の御姿では四頭の象に乗って二十臂という豪華なお姿です。
この仏様に祈願するとかなり駄目な人でも21日、最高21年長生きできると言います。まあ言い伝えみたいなものでしょうけど。でも寿命を主る仏であることは確かです。三井寺で加行しますと唱礼という段で「大安楽不空う真実金剛」と云うのが出てきます。長いお名前ですが大安楽不空真実金剛と云うのはこの普賢延命菩薩のことです。
 
師匠は聖天様のお経本に「金剛寿命陀羅尼経」という普賢延命菩薩の御経を組み込んで拝んでました。
上野の不忍池弁天堂で篤信者だった濱地天松居士が作った辨天様のお経本もそうです。濱地居士は浴酒供となると七日間、弁天堂に上がって金光明最勝王経全10巻を読破していたと言います。
普通、弁天様には最勝王経の大弁才天女品を読むのですが、濱地居士の作ったお経本には末尾には「金剛寿命薩陀羅尼経」がついています。
もう30年位前に弁天堂さんで何部か複刻した時に入手しましたが、今はおいてないと思う。
当院にもずっと前、真言宗のK師に信施して頂いた「金剛寿命陀羅尼経」があり、難病の御祈願の方などにはそのつど差し上げておりました。
思うに天部信仰の方には不金剛寿命陀羅尼経は大変いいと思う。世福ということは逆に自分の身を削る意味があります。馬鹿に儲かると言ってはしゃいでいたと思ったら急死したなんて話は多いものです。財と命は裏表ですからね。財を手に入れたらなるべく、長生きして布施や善行に励むというのが理想でしょう。