金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

五体加持の話

今回から少し霊のお話しです。
御祈祷の五体加持と云うのがあります。
本来はアビシャ法といっていわゆる「神おろし」「ほとけおろし」の法ですが、誰もがこれにかかると霊媒になるというわけではありません。何もなければそのまま病気や厄難を祓うための御祈祷法です。
これは修験道の伝承ですが密教の儀軌にもあります。
アビシャは元は梵語ですからこの語はインド伝来です。
不思議な法なので質問や習いたいという人が結構いますが本当にできるかできないかは形だけできても駄目なのです。
以前は私の書いた本が出ていましたが今は絶版、再版予定もありません。
やはり本だけでは理解に無理があるのかもしれませんね。
それでも本でやってとてもよく効いたといういうお電話や手紙を少し頂いた覚えがあります。
もっとも本と云ってもプロ向けです。初心者が見てやるものじゃないです。
アビシャは祈祷としてはかなり高度になりますから。
相手を観て緩急自在かつ臨機応変でないとできません。
内容は特別なことはなく祭文や真言ですがそれらをどう効果的に使うかは行者次第です。大般若理趣分の転読や九字などもいれます。
不成仏霊には受戒もします。とにかく習ったもの、使えるもの何でも使うのです。
料理人ならおまかせでなんか一品作てみろというのと同じです。
だから授けるといってもこれらができないとできません。
下手に受け手の霊道が開いて悪霊が出てきてしまってもこれをおさめられないと駄目です。
世の中には神おろし系の新宗教がありますが、ああいうのは下手に霊の道を開いてしまって戻せなくなるというアクシデントは多いようですね。
悪霊は発現したくてしょうがないので未熟な素人の施術は格好の獲物です。危険ですからいたずらに近づかぬことです。
そういう新宗教でも全体を取り仕切る守護神のようなものはいますから
道場では術者が未熟な素人でも事故はまだいくらか少ないかもね。

祈祷を受ける者が霊的に強い体質の方だといわゆる慿霊現象になります。ほとんど口を開くことは稀ですがその時こちらも守護神に寄ってもらって相手を照見することが必要なのです。行法全体は術者の守護神が取り仕切ります。

よしんば受け手がしゃべったからと云って本当のこととは限りません。

洞察力のほうが大事です。相手の言うことは二の次です。

やたら口を開きたがるのは多くの場合、自己顕示欲が潜在意識からおし上がっているだけですので言葉をまともに受けてはならず、しかもこの方法自体が相応ではありません。普通の祈祷法に切り替えます。

人は自分の本当に都合の悪いことは多くの場合、無意識に言わないものです。
また精神病や強迫神経症の患者に対してこの法はしてはなりません。極度
の興奮で呼吸不全になったりする恐れがあります。
この法がうまくできればまず一応祈祷行者としては一人前でしょう。
私は伝授などなくいきなり師匠からできるだろうからやってみろと言われました。
実際、長い祭文なども何回もこの法を受けているうちに自然と記憶していました。師匠もそれをみてとったのでしょう。

この法は相手が深く霊媒状態になればこちらもそれにつれて深く入ります。
ほとんど守護神や本尊と一緒になって自分も自然と言葉付きも変わることがありますがそういう時は受け手のほうもそうとう霊的なものが表に出てきている状態です。
そうでない方が相手だとこちらもそういう状態にはなりません。
お互いが鏡のようなものなのです。
だから全然受ける気持ちがない人が受けても不思議なことは何もおきません。
ですから「私にはどんな霊が憑いているのかな~」などと云う面白半分や興味本位でも駄目です。真剣みがありません。そういう人は未だこの法は必要な時期では無いのです。
それでも昔は人に進められて嫌々来た人もいました。
嫌なことはする必要ありません。第一お金が出ますしね。
たぶん、うちで不思議体験した人がすすめたのでしょうが誰もが同じ不思議を体験するとは言えないのです。
現在はこれをすべきか否かは私が決めさせてもらってています。
必要かどうかは素人には判りません。

御加持を取り仕切るお前の守護神は誰かって?
それは秘密で原則的に最後の最後まで言わないものなのです。