金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

ちょっとした失敗

いよいよ年末に向けて聖天浴油開始。
今拝んでいるのは12月分です。
ここでちょっと失敗しました。
聖天様にお酒上げるの忘れてました。
ほかの壇上の供物は前日から用意して並べますがお酒だけは酒の気が抜けそうなので直前に上げます。
そこであわててうっかりそこにあった甘酒を上げてしまった。
勿論聖天様に甘酒を上げちゃいけない訳は何もないのですがこの甘酒は実は信者さんが九頭龍権現に備えたもの。
「それはわしの酒だぞ!」と九頭龍権現様が臍枉げたのか、盛った途端に酒の器がひっくりかえって「なかみ」を全部壇上に撒いてしまいました。
お前がヘマして撒いたのだろうといえばそれまででしょうが、こんなことは滅多ありませんのでこれは上げちゃいけないな・・・と咄嗟に思いなおして別な清酒を勧めました。
大体仏典でも龍は物惜しみ」の強い性格とされています
これはむかしから云う「壇上魔事」というものですね。
聖天供をはじめてやってそういうことが頻発した経験がある。
師匠に言わすと「あんた遊ばれているのだ。」とのことでした。
「・・・・・いい加減にして頂きたい!」

でもそういう神様って・・・・とっても面白いんです。龍や鬼神は気持ちをストレートに形にしてみせてくれます。
九頭龍様には改めてちゃんと器で甘酒をお供えしておきました。
大体ささいなことで怒りやすい龍神様なんかは故意にしたことでない限り、チャンとお詫びをすればすぐに機嫌なおしてくれます。
でもそれにはこちらも即気持ちを形にして対峙しないと駄目ですけど。
逆にそうと知っても「ま、いいか・・・」なんて軽く考えてほっておくと今度は本気で怒らしてしまいドエライことになることもあるのです。
ここのところが判っていないと本格的な龍神信仰は無理ですね。
龍神難陀龍王みたいに貴顕天部のスタイルや天女の姿で龍をまいているのは比較的温和な龍神さま。次が武人スタイル。
来歴にもよるけど新しいものと考えれば龍体で作るのが一番きつい。

龍体はいわば忿怒形。
いわば何も抑えていない本来の龍神です。
人間で作るのは龍の部分を抑えてある。さきにあげた難陀竜王は八大龍王のトップで凄い龍神なんだけど、だからこそ抑えている。
九頭龍様は人間スタイルが無いので祀るのに最もきつい部類。
八大龍王では和修吉龍王と云います。
もし九頭龍様を人間の御姿にして信仰するなら本地の弁天様か十一面観音で拝むほかないですね。

龍神様は人気ありますね。やはり御利益がストレートだからかな。
日ごろろくろく拝みもしないのに龍神さんてご利益あるというからというのである人がお祀りしてある祭壇を見たことあるけどもぬけの殻のようでした。きっと帰ってしまったんだね。あきれて。
そこは神道的に御幣でしたが何にもいない感じでした。
日ごろ無理ばかり言われて年に一回ぐらい拝まれてもねえ。
人間のサラリーマンだって日ごろ残業残業で毎日毎日10時、11時まで酷使されて、年に一回ばかり宴席はられて「呑んで!呑んで!」なんて安酒や形だけのまずい料理勧められても喜べないでしょ。