金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

御気の毒な仏像が多いです

仏像と云えば有難いものだというのが普通ですが、最近は何だこりゃ!というのも結構見ます。まことに失礼ながら実例を一つ。 .

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これは忿怒大黒天のつもりなんでしょうが全然黒くありませんね。青黒色でもない。どうみても赤です。(チベットには白マハカーラはあるけど)
大赤天かしら。進級できなさそうな名前ですね。
おまけに本当は背後に象の生皮を背負っているのですが、ピンクの下地に模様が描いてあってなんか田舎のお祝いで出る風呂敷みたいです。
昔からこういう色は使わぬものです。
右手で餓鬼の頭髪をつかんでいますが掴んでいる髪の毛と生えている髪の色が違うのは何故?
当初、誰だかが祀っていたのだそうですがお祀りを止めたので知り合いのお寺に預けた。それが流れ流れて当院にまで来たのですが・・・。
おそらく中国あたりで作らせたのでしょうね。中国も彫は最近上手です。
特に上海あたりのはものによっては日本のへぼい仏師の作よりましかも知れません。中国があがっているのもあるけど最近の日本の仏師もへたくそ!
でも能く彫れてても中国産は色塗ったらおしまいです。
あちらの彩色は酷いんですから。
本当にお気の毒です。
そしてまあたとえ、よく彫ってあってもお顔はやはり機械彫のオートメーションで味もそっけもないのが多いです。仏像というより彫り物の人形だね。
特に忿怒尊や天部はひどいのが多い。
上手とか下手ではなくもう無茶苦茶です。
帝釈天が柄香炉振りかざしてたり、(灰がまかってしまうのに・・・)
摩利支天の天扇がくり抜いてあったり、なにがなんだか訳のわからないものも手に持っている仏さんはザラです。枚挙にいとまなし!
おまけに動物が全く下手!荼吉尼天の狐ほればハスキー犬みたいだし、摩利支天の猪なんてこれなに?猪の形した箸置き?って思うほどのデッサン力の無さ。龍だって迫力ゼロ。くたびれた爺様みたいな龍ばかり。
中には目が真横についている狐もありました。魚みたいに。
たまにそんなの持ってきて開眼してくれという方もあるけど、こんなものに開眼するなんて冒涜だとさえ思う。
細工が下手でも味のある仏像はあるものですよ。でもこの手のは粗製乱造のなれの果てとしか思えません。
中には祭壇より子供の頃持っていたブルマークの怪獣のソフビと並べた方がいいようなものもあります。
隣のバルタン星人の方がありがたく見えるくらいです。

上の仏像はよくない例とはいえ、色さえ直せばまだ彫りまではそう直さなくてよいので実はそう酷い部類ではありません。
それでもってお弟子さんがこの大黒様は持って帰ってくれました。色をなおして祀るというので。これは功徳です。
ですがいかんせん中にはどうもならんのも多いですね。
下手に細工するより発遣してお焚きあげする方がいいと思うくらい。
まあ、ガシャポンやお菓子のおまけに仏像がついてくるくらいだから、こういう私の感覚が古いと思う人も多いかもね。
でも拝むものなんですよ・・・・仏像って。