金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

お稲荷様の歌

朝起きるとベッドの上で20分か,30分座禅のまねごとをします。
金剛禅だったり数息観だったりいろいろですが、時には色々なイメージが出てきます。
まあ、私はこれを神仏や守護神からもらったもんと勝手に解釈していますが、脈絡なくポンと心にはいってくるので私の連想から起きたただの妄想とは少し違うと思ってるのです。
勿論「座禅」の正当性からいえばそんなもの相手にしないんですが詮ずるところ「まねごと」ですから。
今朝はお稲荷様からのメッセージ。最近良縁の祈祷していますが、男性の祈願が多い。
これは祈願として私の不得意な分野です。でもなんとかしないと・・・
この間、弟子が読んでいる雑誌見たら「男性の3人に1人は生涯独身」という恐ろしい見出しがありました。
ただでさえ少子化なのに日本はどうなってしまうのでしょう。
日本の少子化は4000万人以上の国民のいる国としては最悪のレヴェルだそうですからまさに我が国興亡の瀬戸際です。
弟子本人もその記事に興味を覚えて買った雑誌なのだそうです。
私も弟子ももうとっくに縁談の年ではないし、結婚なんて考えてないのだけど、祈願の上からはきわめて重大事なので関心があります。
雑誌の内容ではお金がないから結婚できないということらしいい。結婚問題というより本質的に経済問題ですね。ウ~ン、そうですね。・・・適齢期の30代の男性でも手取り20万円までもらっていない人多いですものね。
共和党の米国大統領候補、トランプさんの言うようにもはや我が国はアジアの貧乏国ですね。
だとすると敬愛の前に増益拝まないと・・・みたいに思ってしまう。
さてお稲荷さんは日本の神様らしく和歌でメッセージくれました。
こんなの初めてです。
「あららぎをいでにしかみのわれなればこひもかよはすしきしまのみち」
これが一首
「あららぎというのはなんだろうか?」と調べてみたら、雑誌アララギというのがあったけど私、意味知りませんでした。
しらべたら「仏塔」の忌言葉ですね。「忌言葉」は神道で仏教の言葉をさけて使う言葉です。例えばお経を「染め紙」坊さんを「髪長」というたぐい。
あるいはあららぎは「伊勢神宮」をのことをいうそうです。
なるほどお稲荷さんは伊勢外宮のトヨウケノカミの流れですから伊勢からも出ているといえるし、大明神ですから仏教から出たともいえる。特にアララギは「仏塔」と思えば釈迦如来のお舎利を祀るところですから、舎利、つまり如意宝珠の化身がお稲荷さんです。これは昔から言われていること。
「こひ」はそのまま恋でしょう。
敷島の道というのは和歌、歌道のことですね。シキシマはふるくは磯城と書いたようです。もとは奈良の崇神天皇の陵墓がある土地ですが日本の国号でもある。つまり和歌は日本の心の道なんですね。
だからお稲荷さんのこの歌はかなり粋な歌です。たぶん「恋愛や結婚の祈願なら私にしろよ」という意味ですね。
拝み方を聞いたら理趣分よんで真言は十一面観音と荒神呪でいいんだそうです。
二人ばかり良縁を頼まれているからやってみようかと思います。
もう一首きました。
「イヤイヤ、座禅中なのにこんな変なこと思っていてはダメ・・・」と思ってたらすぐに
「うつしよのつきにかかれるかりがねのすがたきらうな。しばしながめよ。」
「現世の月にかかれる雁の姿を嫌いなさんな。無粋なヤツめ。しばし眺めて楽しめ」よ。という意味ですね。
これは月を心にたとえ、カリガネを私の雑念にたとえたのでしょう。
「雑念なんて月に雁の群れが飛んでいるようなもので風情があるじゃないか。そうじゃないの?」というのです。
お稲荷様の二首目、これもなかなか粋だと思いました。
さすが日本の神様で歌で来るとは。
でもあまり難しい言葉使われるとわからないかも。心得ないんで。
和歌は習いたいと思うのだけど教えているところ知らないのでそのままです。
分で歌うのというじゃなく、古き和歌の心を知りたいですね。
俳句の会は多いけど和歌は少ない。
でも和歌やんなきゃ神道はわからない。神道が分からないと日本が分かりません。そう思うからです。
歌はシキシマノミチですから、「大和魂」です。
大和魂」なんていうけど戦時中していたように頭、坊主狩りで軍服着て突っ張る「無粋の極み」とは全く違うんですね。
本当は。歌の道、心の道なんですから。
恋もあれば情けもある。「煩悩即菩提」の裏で「菩提即煩悩」的です。
これが本当の大和魂だと思う。
でも今の演歌みたいなのは違うと思う。ああいう嫌ったらしいベタベタした未練タラタラのものではない。(演歌好きな人はごめんなさい、)
わが心を客観視できるのが特徴です。
どこかにわれとわが身の愚かさを認識しながら、同時にそれを人間のあかしとして大事に愛でるという構造がある。
これは密教や法華思想、浄土思想、修験道にも生きている。
和歌こそ未来遺産です。
明治から西洋の真似しておかしくなったのだと思う。
拙寺には荼吉尼天もいれば豊受大神さまもいますが、このお稲荷様は老翁の御姿、「荒神稲荷」と名乗られました。伏見稲荷にありますよね。
結構山の上の方です。お参りに行きました。
そこから来られたのかな・・・。