理由は一点のみ、それが陛下のお気持ちでもあるという点です。
そしてそれ以上に国民がそれをくみ取っている点です。
まあ、理屈の上ではそういうこという人間もあるかもね。
でもわたしは多くの日本の国民がおひとりの陛下のご健康を思いやり、お気持ちをくむというのは大変に美しいことであり、ことこの問題においては法治国家がどうこうなどさほど重要とは思いません。
法律は替えれば済むことです。
このたび一億国民が陛下に寄せたその「思いやりの心」こそ、大事な我が国の宝です。
私たちはその思いを育て拡大させていくことはできるはずです。
それは帝国主義などではなく、日本国民の思いやりの心をはぐくむということです。
ほかにこのように国民全体が思いやりを深くする機会は永くありませんでした。
民主主義国家になってはじめてといってもよいでしょう。
これは明治政府以来、戦前までの強要された忠義などとは比較にならぬ私たちに日本人の美しい心だと思うのです。
これこそが本来の「赤き心」の姿でしょう。
その日本人の心が今後、陛下のご退位の問題だけでなくあらゆるものに生かされ反映されてていくことを願って止みません。
そしてそれは法律がどうのこうのといったつまらぬ理屈で殺さず是非にも育てるべきだと思う心ですが。