金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

師匠がしてくれたある修行者のお話

私は生来ものぐさで人さまにどうこう言えたようなものでは到底ないのですが、今日はそんなものぐさな私にしてくれた師匠の話を披露します。
私が入門した初めの方でこの話を聞かされました。
今はもう大行者としてそのお名前が轟いている方のお話です。
ちょうど終戦の後で世の中は荒んでおり、お米が食べらればありがたいと言う風だったそうです。
その方が比叡山のあるお寺に小僧に上がった。昼間は学院か何かにいっておられたのでしょう。
それで帰ってくると師匠にご挨拶して「師匠、何か御用は?」
「別にない」というので自室に下がって勉強する。
そういう日が続きました。
そうしたらある日、ガラッと部屋の襖が開いてお師匠さんが来られた。
「お前はもう帰れ!」と言われたそうです。「エ?!」
「お前のような何もしないやつに用はない。」といわれた。
「・・・でも師匠、私は毎度毎度、何か御用はありませんかとお尋ねしていますが?」と恐る恐るいうと「いったことをさせられる以外は、何も自らはしないようなものに修行も何もあるか!」と一喝された。
青天の霹靂!
その方はそれで。「ハッ」と気づいたといいます。
言われたからする。でもそれでおわるとすれば言われなければ何もしないということですね。
させられる以外のことしか本当の意味の修行にはならないのだとすれば・・・
それでその方はそれからは心を一変して大変に修行したそうです。
そしてついに大行者と言われる方になったというお話。

怠け者の私にはこの話大変ショックでしたがありがたい御話でした。


なにか皆様にも参考になれば幸いです。
合掌。