面白かったのは絵巻物。春日権現記ですか。
天台座主が法華経でなく唯識論を読んだら春日権現が喜んで松の上で踊ったとか、ある僧侶が法楽に法華経をあげていたら、法華経より唯識系のお経の読誦がいいと言われ、しかも神前のあんまり近くで御経をあげないように童子形の神からたしなめられたりとか。
いわゆる三一権実の論争ですね。
明恵上人が天竺に行くと言ったらさみしいからやめろと言った奈良の春日明神。
一方、慈覚大師が唐から帰朝したばかりだから自分は行かなくていいだろうといった智証大師を促した叡山の山王権現。
面白い対比です。
頼長卿は愛猫家で猫が死にそうになったので千手観音に祈願したら10年長く生きたといいます。当時は猫は外来の珍獣で中国から輸入していたそうです。
それにしても十数年の寿命は当時の猫としては相当長寿ですね。
彼の猫は長寿のようですが、残念ながら頼長卿のほうは日本一の学者としての名声もありながら、保元の乱の首謀者として若くして命を落としたようです。