金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

春日大社千年の秘宝 猫の刀

東京博物館で春日神社の秘宝展がありました。もともと、藤原頼長が奉納した刀が見たかったんだけど、ほかにも素晴らしいものが沢山ありました。当たり前だけどね。
面白かったのは絵巻物。春日権現記ですか。
天台座主法華経でなく唯識論を読んだら春日権現が喜んで松の上で踊ったとか、ある僧侶が法楽に法華経をあげていたら、法華経より唯識系のお経の読誦がいいと言われ、しかも神前のあんまり近くで御経をあげないように童子形の神からたしなめられたりとか。
全体に唯識法相こそが真の仏法という南都の考え方が根幹になっています。天台宗とは特にライバルだった南都の雄、法相宗
いわゆる三一権実の論争ですね。
明恵上人が天竺に行くと言ったらさみしいからやめろと言った奈良の春日明神。
一方、慈覚大師が唐から帰朝したばかりだから自分は行かなくていいだろうといった智証大師を促した叡山の山王権現
面白い対比です。
人間国宝になっている人も含め、現代の名工たちが技術の粋を集めたというの猫の刀の複製品はもうご神寶に成っていてもう見られないのですが、奈良博にある「ほんもの」のほうが出ていました。
頼長卿は愛猫家で猫が死にそうになったので千手観音に祈願したら10年長く生きたといいます。当時は猫は外来の珍獣で中国から輸入していたそうです。
それにしても十数年の寿命は当時の猫としては相当長寿ですね。
彼の猫は長寿のようですが、残念ながら頼長卿のほうは日本一の学者としての名声もありながら、保元の乱の首謀者として若くして命を落としたようです。