金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

法華の陀羅尼と諸天神


こんな質問がありました。

日蓮宗では陀羅尼と言えば陀羅尼品と普賢勧発品の陀羅尼ばかりをあげるけど、あれは鬼子母神十羅刹女毘沙門天持国天などの陀羅尼だろうに。
それを他の天部にあげてどうなるものか・・・と・
別に日蓮宗の方持つわけではないけど、それは法華最第一の思想があるからなんでしょうね。
だから誰にあげても諸天悉くが随喜するという考えなのでしょう。
最近は真言あげている日蓮系寺院もあるようですが・・・。
前に日蓮宗の御経本に出ている施餓鬼法を見たらやはり施食の陀羅尼が書いてありました。

天台方ではそういうあらゆる諸天の供養に陀羅尼品をあげるという使い方はあまり聞かないけど、陀羅尼品自体はあげなくはない。
わが師匠もわりあいと陀羅尼品を使う咒法を伝承していました。
但し天台流のあげ方としては五番神咒のように神咒のみをあげるのではなく経文全部をあげます.
もっともあげ方に日蓮宗は独特の言い回しをするらしいのですが。
私が若いころ知っていた日蓮宗の道場ではこれは日蓮宗密教に当たる部分だから在家の信者があげるのは過ぎたことだと戒めていました。

陀羅尼品は神力品や一つ前の観世音菩薩普門品とともに法華経の流通分の代表的な経文であり、現世利益を説く御経として珍重されます。
日蓮宗の祈祷は効験は早いですね。やはり鬼子母神十羅刹女なんてのは手っ取り早く動いてくださるんですね。
夜叉部ですからあまりグダグダ言わず「よっしゃあ」といって頼みを聞いてくれる感じ。
聖天もそうだけどねちねちした人、煮え切らない人はこういう尊格からは概して嫌われます。鬼子母神様なんて伝法肌ですからね。
「何をグダグダ言ってるんだ!」とこうなる。
質問した方は日蓮系のお寺なのに本来的に法華経に関係ない弁財天などを祀っているので供養が届いていないのでは…というご心配でした。
まあ、でもそんなこともないでしょう。
七面山のふもとの滝もそうだけど日蓮宗でも弁天さんはあるようですから。

もしそのお寺が、天部の加護を受けているにしてはあまり良いことがないというならあげるお経の問題ではないでしょう。ひょっとしたら失礼ながら供養つまり拝むことが足らないということではないでしょうか。