金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

二つの道

意味ある人生の過ごし方には大きく分けて二通りの道があると思います。
一つは幸福追求型。人間が究極的に欲しいものは心理セラピーで習いました。「愛と親密感」
それが欲しいので二次的にお金持ちになって人に尊敬されたい、バカにされたくないとかも一つにはあるわけです。
いくらリッチでもステゴサウルスだのチラノサウルスしかいない世界に行って金殿玉楼に住んで高級車乗って超一流のスーツに身を包み、高級腕時計してみてもはじまりません。
だから人に愛されたい。そのためには尊敬されたいという欲求。
お金、名誉、皆そこに結び付く。人とともに歩む世界。
家族を愛し、友と親しむ。これ大多数の人の生き方でもある。
でも目的と手段が混乱すると、しばしば我利我利亡者みたいになるのはこれ即ち方法論の病気です。

今一つは充実の人生。自分が自分自身を認められるか否かにかけていく世界。芸術やスポーツはそういう要素がありますね。
宮本武蔵なんかはこれ。
人ともにありたいというより、以上に自分の道を追求する。
興味の主体はどこまでも自分自身にある。
でも勿論、いくら孤独の世界と言っても先ほど言ったように人間の存在がないならその意味も薄いでしょう。
恐竜しかいない世界で絵画も音楽も、剣術もへったくれもない。もっとも自己防衛のための武器は必要かもしれませんけど。
自己追及の道。そこに幸せはないけど満足の追求です。
武蔵先生の「独行道」には幸せのにおいはしないけど、自分というものを追求する人にはヒットする面も多い。
私も好きですね。
良い作品ができても、武術でナンバーワンの剣客になってもいわゆる「幸せ」ではないでしょう。幸せは人と分かち合ってこそ幸せなのです。
でもそこに「充実感」はある。
ま、いってみれば充実人生です。
仏教でいうなら大乗仏教は多分に前、上座部仏教は多分に後者かもしれません。
どっちでも人の自由だし、まあ、厳密言えば一人の人の中でもどちらもあるでしょう。
比重の問題かもね。
で、あなたはどっちを行きますか?