金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

みんな世のため、人のため、自分のため

「行者さんて大変なんですよね」ってときどき言われますが…そうかなあ?私正直な話どんなお仕事でも大変っちゃ大変だと思う。
豆腐屋さんなんて大変だよね。面白いテレビも見ないでとっとと寝て大豆焚いて夜明け前に豆腐にする。
それで売れなきゃ次の日にはもう商品にならない。
魚屋さんも大変。早朝河岸に行って仕入れる。それもやはり大変だよね。ああいう仕入れって新米だと遠慮もいるしね。
ホステスさんだって大変だよね。お酒で体やられてしまうけど呑まないと仕事にならない。お日様をあんまり浴びられないから肌がつやがなくなってくる。
「でも先生のお仕事は世のため人のためでしょう?」というけどはっきり言ってそうじゃないですよ。
驚くこと言うと思うでしょうけどそこ違います。
世のため人の為なのは仏教の精神をもってすれば全部の職業がそうなんですね。勿論、お寺もですが、飲み屋さんだって、屋台のおでん屋でもおんなじですよね。
この仕事だけがそうなんだ。特別偉いんだなんてバカなこと思わないね。
全部の仕事が世のため、人のため。そして自分の為。
それが正しい「大乗仏教」の理解と思っています。


「でも大変でしょう。」いいえ、私がこの仕事しているのは好きだからしています。
いいかえれば私がやりやすいからしてるんです。
だから苦痛でも何でもない。幸せです。
七日間は毎座2時間以上拝みっぱなしでも楽しいからイヤじゃない。
しんどいはしんどいですよ。でもその位なにやっても同じでしょ。
大体生きることは基本的にしんどいんですね。でもしんどいのも生きているからで生き物じゃなきゃしんどくないよね。
生きてるのとしんどいのは同義です。「一切行苦」ってそれ。
私にとっては行するよりネクタイ閉めてカバン下げて営業やるなんて方が苦痛です。若いうちやったけどあれ終わりがないものね。当たり前だけど。(笑)毎月新規開拓。気が遠くなる。営業取れないと部長が来て竹刀振り回して怒る。今考えるとブラックそのもの。
今ないみたいだけど保険のセールスなんて考えただけでも大変。
私はゴルフも高級クラブも高級車も麻雀も高いお洋服も全然興味ないんで。(自動車免許もないよ)

でも、聖人君子じゃないんですよ。ここ勘違いされちゃ困る。
よくスピ系のセミナー行くと「あなたはあふれるような神の愛に満たされて…」なんてやるけど、そういうこともあればあふれるような憎悪に満たされることもある…私自身はただのゾクブツです。
少々変わっているだけなんです。
我慢しているんじゃなく、世間的な娯楽にほとんど興味がない。
薄暗いとこで口先三寸で話する年齢不詳の女性に囲まれておべんちゃら言われて何十万円、何百万円もの酒飲んでもなにがおもしろいのかな。
(酒は気心の知れた人たちとしみじみ話しながら飲みたいね。)
でも普通そういうの楽しいらしい。だから、変なのは私。奇人変人。
フツーじゃない。それだけ。
多分普通の人は一緒にいてとってもつまらない男ですね。私。
たぶん、いっしょにいたらツチブタとかセンザンコウとか…変な珍動物と同居しているようなもんだろうね。
凡そつまらない人間であることは自信がある。
それでいてこちらとしては人は別に嫌いじゃないんですよ。
人間が来るとぞろぞろ出てくる好奇心の強い動物。ケアンズで見たイワワラビー。
あんなものかも。
興味があることは・・・珍しい動物や鳥、花や昆虫を見にジャングルとかは行ってみたい。きれいな山や海、風景も見たいな。
住むなら高級マンションなんかより、家がぼろくても庭がある方ががいいな。
六本木だろうが芦屋だろうが庭もないあんな箱に入るのはまっぴらごめんですな。
「家庭を持たないの?」っていう話もめんどくさそうだし、興味ないからそのまま。どうせ人間フツーじゃないし、色々我慢して結婚してもうまくいきません。まず私より向こうが我慢できないでしょうね。勝手もんです。
多分子供もうまいこと育てられんだろうな。私、弟子の養成も下手だし。
せっかく出家したんだから気楽だけが宝の人間です。
だから奇人変人と思われていた方が楽。
一々、他天体から参りました羽田といいますなんて説明しないんでいいようなものなんで。

古代ギリシャ犬儒派の哲学者ディオゲネスは犬のように野外に暮らし樽の中に住んで満足していたといいます。でもそれは清貧の徳というようなものより、「まあ、樽が好きだったんだね」と思う。

いくらなんでもディオゲネスほど変人とは思いませんが、私、人と違う人生を望んでいたんで。
でも、ちょっと違いすぎたかも、もう手遅れですね。(笑)