金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

弁天様もやはり女性の方です

先月弁財天お守りの頒布をしたら、その中に信者様の知り合いで「宇賀神浴酒」するなら浴酒の祈願札が欲しいという女性があったので、一人だけお札にしてそのなかに弁舌、学芸、財運の三つを祈りこみました。
この「弁舌」というのがミソで昔は「敬愛和合」だったのですが…結局口下手じゃ敬愛もへったくれもないよねということで名称変更しました。
だから唱える真言は一緒、「宇賀神敬愛真言」です。
そうしたら随分恋愛とごぶさただったのに恋人できた!との事。
なんとね。
私は今まで弁天様とは守護神なので長い付き合いだけど、弁天様って知れば知るほどなんか武ばっていて毅然としている女神。
女神アーテナーみたいな人だなあと思っていました。
ある意味それはそれでカッコいい女性ではあるのですが。…そういう女性は恋愛とか関係ないタイプですよね。えてして。
洋書のインド神話の本読んでいたらビシュヌ大神にはサラスヴァティ(弁才天)とラクシュミー(吉祥天)の二人の奥方がいた。昔のインドは一夫多妻ですから。
サラスヴァティは学問と芸術の神、吉祥天は愛と幸福の神、この二人は相反する性格で喧嘩ばかりするので、ビシュヌも我慢ならずサラスヴァティは別れてブラフマー(梵天)の妻になったというお話。
だからどちらかというとお堅い方。本来は恋愛だのお金だのより学問とか技芸の道を究めるという方です。
仏教では梵天は独身なので弁天様は独り者です。
天女の中で梵行(ブラフマチャリヤ)の最も勝れた方です。
大黒天、摩利支天と並ぶ三軍神でもある。
最勝王経では帝釈天と阿修羅の戦いでもこの弁才天が出ていくと常に勝ってしまうという。(天軍が)
最勝王経の扉絵は弁天様が岩座にいて、帝釈天や訶梨帝母、閻魔天、婆蘇仙が取り巻いていますが、もっと近くには虎や狼、ニワトリだの羊や牛だのがいる。
もう、アウトドア派ですね。
これに比べれば吉祥天曼荼羅なんかは天女がかしずいて梵天、帝釈がいて花が降っていて乙女らしい構図です。
だから、「弁才天てこういう人なのに恋愛祈願なんてどうよ?」とずっと思っていましたけど、でも今回は恋愛成就だそうです。
弁天様も愛を求める女性の祈りに応えるんだなあ・・・と思った。
あ、そんなこと言ってたら「何を言う。わらわとて女であるぞよ!」って怒られますね。