金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

如意宝珠のお話

朝からややこしい話をしますが…昨日増益法のことで夜分尋ねてきた弟子があり、「如意宝珠法」のおさらいしました。
この法は増益法中の秘中の秘です。未だ壇に上らず修する準備を企てるだけで効験を見ることすらあります。
増益の最たる象徴こそは「如意宝珠」なのです。

如意宝珠は頭がとんがった不思議な形の宝の玉で表現されますが、実は宇宙を表す五輪の図像はすべてこの中に入ります。
まず地輪は四角であり、その中に三角にの火輪が潜みます。つまり二等辺の△二つで□のかたちです。
△は火の上昇エネルギー、□は堅固な大地の表現です。次に水を表す〇は水の表示水輪です。この○を二分すると🌗の組み合わせであると知れます。この半円は風輪です。半月の形ですが、風は目に見えないものの風が起これば雲が流れて月を覆うからです。つまり風は水に摂せられ、火は地に摂せられる形で内包されています。
この○と□の組み合わせが宝珠型なのです。◇を〇に入れれて頭を出した形です。つまり地と水の組み合わせで空輪を表します。空の中には地水火風の四大元素全てを含みます。つまり宇宙の形です。

ここでいう「空」は霊妙不可思議ではありますが悟りの空ではなく、自然物の空輪です。五輪を宝珠から引き出して展開すれば即ち、地水火風空の五輪の重なった五輪塔婆の形になります。大日如来の三昧耶形です。
如意宝珠とはそのうちにすべてを含みます。

 ※五輪塔(左)と如意宝珠(右)は同じ三昧のもの
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故に最強の増益法であり、息災、敬愛、調伏を兼ねます。狭義の増益は地輪で表します。ゆえに堅牢地天や地蔵尊には増益の力がすぐれています。
我々に必要なあらゆる善きものは大智から生まれます。広義の増益は宝珠型で空を表し、虚空蔵菩薩に代表されます。
これは専門的には増益とはいわないで「鉤召」と申します。
ものでも人でも状況でもなンでも引き寄せる。
虚空蔵菩薩の増益はダイレクトにモノそのものでなく智恵による増益です。
つまりものを生み出す智です。
だから本当は引き寄せるというよりこちらに知恵の目ができて身近なものの価値に目覚めるのです。

大地に相当する物質そのものがいくらあっても活かす知恵が無いなら真の増益とは言えません。
無限のお宝があっても宝に見ることができない。活かすことができないからです。例えば鉱物のレアメタルは現代のコンピュータ化した社会ではとても貴重ですが、昔は活用の場もなくただの石でしかないのです。
そこに新たな智があって宝になったのです。弘法さまの『医王の目には途に触れてみな薬なり、解宝の人は鉱石を宝と見る。』とは明言です。
だから真の増益とは事物を宝に変える知恵そのものです。
如意宝珠があらゆる宝を吐くのはこのためです。
宝とは必要が生む存在です。
必要なところへ必要なものを持っていく。
単純ですがこれが経済の根幹であり、商売の王道でもあると私は思うのです。欲しいところ、必要なところへもっていくなら、たとえば動物の糞でも宝です。宝に決まった姿などない。
ゆえに虚空そのもので表現する。
如意宝珠は「仏」で表せばボローンで金輪仏頂であり、「法」で表せば最勝王経、「僧」で表せば宝光虚空蔵菩薩です。

    南無大海在竜王蔵肝頸如意宝珠輪権現大士等