金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

弘法大師ともあろうお人が怖くてお経を忘れますか?

ようやくオフになったので午後は「空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎」というチェン・カイコー監督の映画を見ました。
染谷翔太君が空海役ですが印も真言も何も出てきません。
というよりこの映画は中国の化け猫映画なんです。怪奇もの。
だってこの映画は原題からして「妖猫伝」ですもの。

誰だろ。「空海KU-KAI-」なんて改題付けたアホ!
よくあるように主人の恨みを晴らすため、死んだ飼い猫が化けて復讐する話。「鍋島怪猫伝」みたいのと思えばい。
それでもって、別にこの映画の空海真言の秘術をもって化け猫と戦うんでも何でもないんですね。逆に猫にはひっかかれてて手を引っ込めたりする。
ま、映像はきれいだし、化け猫映画も好きなのでいいんですが…
気になったのは遣唐使船が海難事故で難破してしまい。そのとき空海は恐ろしくて「日ごろ読んでいた経典や真言も皆頭から消えてしまったのだ!」と語るところ。

夢枕獏先生の原作がどうなっているんだか読んでないので知らないけど、アンタねぇ、ふつう怖い目にあれば神仏に手をあわすのは信仰のない一般人でもする行為ではありますまいか?
それを空海ほどの求道者が怖くてそれを忘れるというのは非常にお粗末至極な呆れる設定。

もっとも今更祈ってどうなるもんでもあるまい。日頃十分すべきことはしているので改めてそんなところで必死に祈らないというならそれはよくわかる。

でも、そういうのでもない。この設定した人は信仰が全然わかっていないんですね~。
さりとて私的には別に見て損した映画ということもなく、むしろもう一回見てもいいかなと思うくらいなんですが…全くもって宗教映画ではないので、そこはご注意ください。