身長45センチ余り、この観音様、大変美しくしかもお優しいお顔です。
静かで限りないやさしさが漂う・・・
インドでは不空羂索観音は儀軌の要集である「サーダナマーラー」にも御名が見えず、そのお姿も大変珍しいものです。もともとは観音の一種から出発した菩薩ではないのでしょう。
わが国では春日大社の本地仏とされ、奈良時代や平安時代には、まるで藤原氏の独占のような存在になっていました。
ちなみに藤原氏の氏寺の興福寺南圓堂もこの不空羂索観音様がご本尊。
藤原氏がこの観音を独占したかったのは上をとられない。つまり上位の人の支配をうけないというご利益があったためともいいます。
ほかにもわずかに日々七編の真言で20種ものご利益が得られるとされています。
特に面白いのは逆縁に強く、この観音様をけなしたりしても仏縁が生じてしまうそうです。
偏狭な心の不信心の人がおおぜいいところでお祀りしたいね。
また、肌が美しくなめらかで美人になるとか、この観音様の真言でお加持した水で顔を洗えば誹謗中傷をはねのけてしまうといった芸の細かいご利益もあります。
とりわけ、肌が美しくなるといわれるので私は「美容成就」のご祈願にはこの観音の真言を使っています。女性にはとりわけ嬉しい観音様です。
さらに臨終にその苦しみをうけないであの世に行けるという。
今回、この観音、あまりにお美しかったので先の如意輪観音と同じで、なんとなくお迎えしてしまいました。
ご真言は色々あるけど「オンアボキャビジャヤウンハッタ」というのがみじかいのでご祈祷ではこちらをよく唱えています。
有名な光明真言もこの観音様のお経に出てくる御真言とされています。
だから光明真言でお参りしてもオーケーだと思います。
ちなみに馬頭観音の儀軌には西に馬頭観音、東に十一面観音、北に八臂観音(不空羂索観音)、南には八大竜王を安置する羯磨曼荼羅が説かれており、この構図は筑紫の観世音寺の諸尊に近いものが感じられます。