金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

准胝仏母の本地


准胝仏母の本地は釈迦といいます。
もっとも准胝観音として考えるなら、観音部ですから本地は阿弥陀でしょうが…私は一応仏母として拝んでいます。

准胝の儀軌に釈迦の化身とまでははっきりないようですが昨日買った「龍と蛇」の本に敦煌莫高窟の仏像で面白い写真が出ていました。
釈尊が蓮華の上で瞑想しているレリーフ上の仏像ですが、その茎は地下世界に達し、下で二人の龍王がささえているのです。
この構図はまるきり准胝仏母そのもの。

※ 写真は著作権上出せませんので本のみご紹介

つまるところ、この構図がそのまま准胝仏母にも反映されているのかと思います。
ただし、龍王がいるのは海中ではなく、地下世界で支えている。
しかも准胝仏母の乗る蓮台の茎を支えている難陀、跋難陀の兄弟竜王ではなく、ムチャリンダ竜王夫妻です。
仏伝物語では台風でも瞑想する釈尊を大きなとぐろを巻いて守った竜王
東南アジアではよく背後に多頭のナーガがいてその上に仏陀がおわしますが、あの竜王です。
「目森隣陀龍王」と漢訳されることが多い。

ヒンドゥー的には仏陀はビシュヌの化身であり、ビシュヌは永遠の大蛇シェーシャ・ナーガの上で寝ているといいますから。ナーガに坐する釈尊図像学的にはそこからきた造形と考えるのが普通でしょうが、単純にそうとだけも言い切れないものがあるかもしれません。
合掌