金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

どのくらいで一人前?


かなり前だけど仏道入門したいのだけど、「一人前になるまでどくらいの時間とお金がかかりますか?あらかじめ教えてください。」と聞かれました。
ちょっと面喰らいました。
さあ、計算したことないし、そもそもいつをもって一人前というの?

仏教の目的、悟るとなると何カルパ。普通戒律守って厳格に修行して最低三阿僧祇劫で一人間の仏様。

もちろんそういうことじゃないだろうけど、僧階つくまでならやりようですぐにでもつくけど…むしろそれに値する内容ができるまでとなると人によりけり。
ウ~ン・・・中身を伴わない僧階は認めるわけにいかないものね。
お金や時間で一律に言えません。
そういうものに換算して何とかなると読んでいる・・・もうその考え自体が全然、話にならない。

でもまあ、とはいえ・・・まるきり計算できないわけでもないけど・・・衣帯やそのつど本山までの往復交通費、宿泊、伝法料。修験道や講習会、仏具、仏像、5年間フルにこういうのやったとして100万円くらいかかるかな。
いやもっとかかるかも・・・だから片手間じゃできんわね。

何にもせず得度して終わるなら、もちろん得度料くらいでおしまい。
目下うちの宗派の得度料は三万円くらいのもんだね。そういう人もいる。

あるいは本気ならもう小僧さんになってお寺に入ってしまうという方法もある。此れだとわずかながら賃金が出て修行はおおむね見てもらえる場合も多い。

とにかく、そんな予算組んで修行したわけじゃないからわからんけど専門行者で教会持つこと目指すと大変お金もかかります。
私なんかその都度、お金ないなあといいながらなんとかしのいだ。
家で助けてくれたけど、もちろんフンダンにお金くれるわけじゃない。最低限です。
もう、ないわ。ここまででやめだわ。と思ったことも。
師匠に言うと「衣食の中に道心なし」といわれておしまい。
伝教大師様のおことばで「衣食を何とかしたい、生活を先に立てては道を求めることはできない。まことに道を求める人にはおのずと生活はついてくる。」という意味です。
でもこれ大事なんですね。

長野で道場開くするときも母にもだいぶ助けてもらって、「これは結婚資金と思って貯めてきたけど、お前が結婚しないというならそっちに充ててやる、しかし金はもうないぞ。それでいいのか?」と言われ、「結婚はしない。行者で行きます。」といってもそれでなんとかやらせてもらった。

だから道場開いてそれでやっていくというなら結構なお金かかります。
なんでも同じ。店開くならスキルいるから学校行くでしょ。
そんな10万円や20万円なんかで済むもんですか。それで道場開く。同じくらいかかるとみてよい。
だからお金ないんですけど是非やりたいんです・・・という人はうちで小僧で措いて面倒見た人もいる。
普通こんな零細寺院で小僧がいるとこなんか、どこ行ってもないですけどね(笑)
お金がかかるはかかるので熱心な若い人にはそれなりの応援も考えないといけない。若いうちはお金ないけどお金ないからこそできることもある。
たとえばひと月15万円の生活なら一か月どこか山にこもったとしてそれだけ別にしておけばいい。50万円だとなかなかそうもいかないし、いろいろ責任ある仕事もしているので休むことができない。

それと周りの理解や協力は経済的なもの抜いても必要です。
だから家族のいる人は最初のあんたの信者は家族だよといっています