金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

密教修法の世界 結界とは

密教ではどんな修法するのにも「結界」というのはります。
最小単位は「護身法」というの。
自分の身を守る。
まず防御です。
これがあるので一般の民間呪術とは格段の差がある。

一般の一座行法でいうなら「地結」とか「金剛墻」とか、「虚空網」とか・・・火炎がもうもうと立ち上がる恐ろし気な垣根だの、網だの持ちだして修法の座を守る。
こういうのって一般の人はエスエフ映画に出てくる電磁バリヤーみたいに思うようですが(近場で言えばエヴァゲリオンのATフィールドみたいのです)敵の攻撃をことごとく跳ね返してふせぐ・・・でも、それは初心的な考え方です。

本当の結界は結界の外と内側がまったく違う世界でないといけない。
電磁バリヤー的な世界は踏み込まれればおしまい。
いわゆる「結界が破られた!」というやつです。
よくテレビなんかでやっているでしょ。怪獣だの敵の乗り物なんかがバリヤー破って攻め込んできて「もうだめだ。」みたいなの。
そういうのは獣除けみたいな物理的な結界だけ。
本当の修法としての結界は低気圧と高気圧のように同時に同じ場所に存在しえないものなのです。
そこは境涯の違いですね。
これだと外部からは破りようがない、もっとも境涯下がれば、やぶれちゃうけどね。

たとえばその結界をしているのは誰?と思えば答えはすぐわかる。
別に鉄縄網や杭をあつらえてきて結界しているわけじゃないでしょうよ。
みんな自分の心にあるものです。
敵に備えて結界の中で「よもや、破られやしないか」とぶるぶる震えて心配しているなんてのは本当結界として機能しないですね。

怪談の「牡丹灯篭」では夜ごとやってくる幽霊におびえて戸口にお札貼って立てこもる青年が出てきますよね。
ああいうのは自分ではっている結界じゃないからね。
お札というモノに守ってもらっているという観念による、準物理的結界だから破れることはありますね。
民間でいっている結界の認識はほとんどそんなもんですね。