金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

宝筐印陀羅尼と尊勝陀羅尼


宝筐印塔曼荼羅です。諸神諸仏が降臨しています。ありがたや、ありがたや。
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宝筐印陀羅尼は前に佐賀の三筆であり書画を紹介させていただいた准胝信仰の布教者、豪潮律師が准胝仏母と並んで、深くこの陀羅尼を信仰して八万四千の宝篋印塔を立てる発願をしました。
実際に大小合わせて相当数立てたらしい。

ある密教系新宗教では宝篋印塔を本尊にして准胝信仰をさせていたから
今考えると豪潮さんの影響を強く受けていたのかもしれないですね。

この同じ構図で「尊勝陀羅尼」で書かれたのが、冷泉為恭の「神明仏陀降臨曼荼羅」で大倉集古館にあるそうです。
この冷泉為恭さんて冷泉家とは何の関係もないらしいのです。もとは狩野家の人です。
勝手に名乗ってたのかね?よくおとがめがなかったね。
勤王の傑僧、願海阿闍梨と盟友でした。
願海さんは私の出た大福生寺にゆかりのお方。なんでだか惜しい事に自殺されたんですね。なんか最後は葛川の滝に入ったらしい。
実は願海さんは冷泉為恭さんが勤王派でありながら佐幕派の人とも親交があったため、スパイと疑われ斬られてしまったのがショックだったらしい。
それで大層淋しく思って入水された。
そういう話もあります。
明治天皇の御誕生を歓喜天供と尊勝法で祈った方です。
「尊勝陀羅尼明験録」というご本もお書きになられた。
今でも知る人ぞ知る祈祷の達者でお徳を慕う天台宗内の方も少なくないです。
わたしもよく尊勝陀羅尼は好きで法楽で拝むけど、もっぱら厄除け祈祷では宝筐印陀羅尼を拝みます。
この二つの陀羅尼プラス「千手千眼観世音菩薩広大円満無碍大悲心陀羅尼」で天台宗では三陀羅尼とします。
真言宗では「大悲心陀羅尼」抜いて「阿弥陀仏根本陀羅尼」いれます。
余談ながら三井寺のお経にはどういうわけか阿弥陀大呪も大悲心陀羅尼もないんです。

なお、「神明仏陀降臨曼荼羅」ではなんと黄不動さんが描かれています。
三井寺にどういうゆかりがあったのか、だいぶ昔ですが長吏様のいらした塔頭で願海さんの描いた白衣観音像も拝見いたしました。
願海さんには狐を連れた童子の「尊勝大明神」という感得の明神様もあります。

残念ながら願海さんは猫は大のお嫌いだったらしく。涅槃図にも猫はいないところから釈尊も嫌い給いし妖獣をなぜ寺に置くのか!と力入れて書いています。
そこ行くと拙寺は完全に妖獣の寺です。願海さん堪忍です。(笑)