金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

元三大師の降臨

 
ある時霊媒Nさんに元三大師が降臨したといいます。

元三大師は正月三日が命日なのでこういうのですが正式には慈慧大師といい、お名前は良源という天台宗18代目のお座主です。
大変な碩学で内政的手腕優れた方で勿論歴史的にも知られた方です。
何よりもご祈祷に優れた方でした。そのため死してなお、朝野の信仰厚く仰がれ今日に至ります。
ですから祈願の面で比叡山で大師信仰というと伝教大師最澄様ではなく元三大師良源様を言うことが多い。
 
この方が降臨して師匠を助けに来てくれるという。
だから迎えに来いという。
こういう場合は必ず依り代があります。つまり開眼された存在。立願に応じて仏像に込められた魂であるところも「応身」の存在です。開眼された応身は報身からの分霊です。
 
つまり一種の残留思念なんですね。法身霊媒にはかかりません。
つまり不動明王なら不動明王で漠然とではなく、
必ずどこそこのお不動さんです。
仏像のない存在でも、今は失われたがかってあった存在や、稀に新たに報身の存在が娑婆に降り立つという場合以外(まずほとんどこれもない)霊媒にはかからない。
まあ、だから霊媒に来るのはそこそこ開眼した方の想念が入っているからですね。
ひどいのは全部開眼した人の想念しか入っていない。
 
さて霊媒では自分はどこそこにいるので迎えに来いという。それで比叡山に問い合わせたらまさしくそれらしき尊像があるという。
昔、講中があってそこの本尊だけど今は解散して仏像のみ残っているという。
時の御座主猊下は山田慧諦座主でご自分も元三大師を厚く信仰されていたので、この荒唐無稽の話を大変喜んで大師の供養法を伝授してくださったとのことです。
実は師匠の調査では元三大師は師匠の守護神、菅原道真公の家系とも深い因縁があった由です。
 
その前後、私が比叡山に小僧修行に行く話もあたったのですが、話では行く先は無動寺谷でした。
ところが夢には立派な納衣に七條袈裟のお坊さんが現れ「そこにいってはならぬ。横川に来い。」という。いつも天狗を召し連れておられ杉木立の参道に立っておられた。三回ほど夢に出てこられ同じことを言われました。
でも、そのころは元三大師のことは良く知りませんでした。

多分、あとで考えるとあの方は元三大師様だったのかなと思う。天狗を召し連れているので尋常の人ではないのです。
「天狗経」でも横川には覚海坊という天狗さんがいることになっている。
比叡山法性坊というのもいますが、これは実は元三大師のお師匠といわれる尊意僧正だと言われます。
この方は神道集では天満宮の怨霊と丁々発止の法力合戦をくりひろげます。尊意さんは智証大師の受戒を受けた方です。

でもそんな話を師匠にするのは僭越ですし、横川にやってくれというのはもっと僭越です。
結局はどちらもいきませんでした。師匠から叱られましたが…実はそういうことがありました。
この話は今の今まで誰にもしたことはありません。
そしてもっぱら私は三井寺で行こうと意を決めたのでした。

元三大師はわが一門にはかかわりが深く、同門の泉養寺のK師などは元三大師の熱烈な信者です。