金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

怒り出す毘沙門天


昔、中野の新井薬師で開かれる骨董市にちょくちょく行きました。
まだ20代でお金はなかったから基本は冷やかしですが結構面白いものがありました。
ある時50センチほどの毘沙門天が出た。
これが西域風の鎧を付けた「兜跋毘沙門天」でなかなかいいものだった。
「ちょっとよくみせてくれ」というと「これはお宝呼ぶけどちゃんと祀らないと怒りだすんだよ。お兄さん。」といわれた。
そんなことは百も承知です。

そのうち何人かの人垣ができて古美術商の話では、この仏像はさる大きな商家にあったのだといういきさつが語られた。
話では、昔は坊さん大勢呼んできて年に一回、ものすごい量のお経を皆で詠む儀式をしていたというから、おそらく大般若会でもしていたのでしょう。
それが代わりしてから信仰が薄くなり、そういうことをしなくなってから、あれよあれよというまに衰微してしまった。それで家がつぶれて毘沙門さんも外に出たということらしい。
よくある話です。

私の師匠は七日間浴油を一座づつしました。私も同じ。
やはり聖天様の浴油をしていると行者さんとの話で、その行者さんは如法に昼夜三座しているという。
「…大変結構だが、そこまでして万が一続かないとご不満になるよ。」と注意する話をされた。自行ならかくもあれ、量にもよるが祈願で三座は無理だなとも言った。

だから何事も続けられないことはするものではないと教わりました。
特に天部の供養に関してはね。