金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

在家に浴油像を祀る。


在家一般の家庭では聖天様の尊像を祀ってはいけないことになっております。
私の知るある男性。この人は信仰熱心で一緒に遍路にもいった方ですが彼はひそかに尊像を祀っていました。

聞けば結婚の悲願があったようです。秘密にしてお祀りしていました。
でも失業し、心臓を病み、指が切れてとんでしまい、目も失明しかけました。これでもかという仕打ちにあったのですが・・・
親類縁者が彼の家に行って聖天像を見つけ寺に奉納してから災いはなくなりましたが、切れてしまった指はそれからもずっと痛覚だけが消えることなく終生苦しむことになりました。
そして彼は還暦にもならず。結婚もかなわずにあの世に旅立ちました。

もう一人の方は資産家で尊像をいっぱい持っていたそうです。
趣味で集めたといいます。
知らない方でまた聞きのお話ですが・・・それでただ持っているのもよくないので人に言われてはじめて浴油した。在家の方ですから伝授も受けずに自分で真似事でもしたようです。
そしたらどこか傷があるのか、尊像の一角からぶくぶくと気泡が出る。
その年のうちに同じところからガンになって亡くなったそうです。

これらをどう思うかは人さまざまであり何とも言えませんが、やはりするなということはしないのがいいのではと思います。広い意味で「越三昧耶」という宗教上の罪になるかと思います。

私が知っていて無事だったのはNさんという老婦人だけです。
その方はご先祖から持っておられて、何でも庭に小さな洞があってそこにまつられていたらしい。わが師のもとに年に一回必ず浴油をしてもらいに持参していました。

ただし、木天の場合はそういう怖い話は寡聞にして聞きません。
私のもとにも当時小さな木天があって師匠に見せたところ、「これは在家の信仰としてまつったものだろう。アンタは行をする身だし、まあ持っていてもよいだろう。」と言われました。
愚考するに金属製の浴油仏は浴油してこそその真価が発揮されるので、ただおいておくのはご不満なのでしょう。
浴油をしないで持っている人の場合はご寺院以外はろくなことがないようです。