金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

越三昧耶とプロメテウスの火

ギリシャ神話では、人間に大いなる文明のもととなる「火」を天界から人類にもたらしたプロメテウスは、大神ゼウスの怒りを買い、三万年の間コーカサスの山の頂にくくられワシに肝臓を食われるという罰を受けたという。

昨日の大森先生のお話では、密教の伝法を非器のものに授ければ大いに災いとなるという話。これを「越三昧耶」という。阿闍梨の罪です。
対するに許されていない密教の法を私に行うのは「退三昧耶」だそうです。

私にも憶えがある。特に天部の修法は授けてよかったというよりまずかったなと思うことが少なくない。
誰にでも許可しているわけではないけど、それでも人物を見誤って授けたこともある。
非器の者は増上慢から必ずよくない行いによって自滅します。

まさに与えてはならぬものを与えたプロメテウスのように心を苦しめます。

以後は直門以外には基本として天部の一尊法は一切授けないことにしています。このうえ晩節を穢すことはしたくないですから。