金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

修行以前の修行

修行の目的は修行以外ない。

自分を磨く事。

ほかにない。

常識的な部分が欠落していて仏道修行も密教修行もない。

昔から禅の世界で言われている言葉に「まず茶碗を洗え」というのがあります。

飯を食ったら茶碗を洗う。そういう当たり前のことと座禅の工夫が同じ価値で語られている。

そうでないと座禅オタクみたいなのばかりできる。

密教も同じ。

挨拶もろくにできない。掃除や片付けもできない。

礼儀も作法もない。口の利き方すら知らない。

日常が満足にできない。

 

昔、生駒の聖天さんにお参りに行ったら、その時、遍路の帰りだったせいもあり、それらしいいでたちでしたので「行者さんですか?」と声かけられた。

ふりむくと17,8歳の息子さんとお母さん。駆け寄ってきてやおら

「あのう、この子お願いしたいんです・」と言われた。「え、何?意味わからない・・・?」

ふりむきざまに私の顔見て「ああ、この行者さんにやさしそう。(どこに目がついているんでしょう?)やさしい行者さんがいいよねぇ。」とか二人で向き合ってニコニコして何とか云っている。

聞けばどうやらその子を弟子にしてそのまま連れて帰って欲しいらしい。・・・そういうことのようです。

 急に?

そう、急に!

なんか事情はあるんでしょうけど、わけわかりません!

新手の捨て子か?_

「すみませんが私自身、ただの小僧です。修行中の人間ですのでそういうことはできかねます。」といっても「あのう…」とか言ってついてくる。

もう気色悪いんで無視してどんどん上に歩いていった、でも、ものすごい勢いで親子で追いついてくる。

ヒヤ~!恐怖映画か。

 

追いついてなんかしきりに言ってくるんだけどこっちも無視して大声で不動堂で心経上げて。上げ終わったら怒涛の勢いで多宝塔ももう拝まないで石段くだった。向こうも負けずにくだって来る。

「あ、」とかいって石段おりたところでそのうちお母さんがけつまずいてよろけた。支える息子。

大声でなンか言ってるけどふりかえらず、脱兎の勢いで山門を出た。

何なんでしょう。あの人たち。・・・・ああ、驚いた。

 

修行したいなら、まずものの順序くらいわきまえないといけません。

17,8歳にもなっておっかさんとふたりで師になりそうな人を霊場で探して待ち構えているってそれだけでもうおかしい。しかも即決を迫る。たぶん時々だか毎日だかああやってるんでしょうね。

 君ねえ。

自分ひとりで探しなよ。自分の師匠くらい。