霊狐さんにダメ元でコロナウイルスについて聞いてみた。
普通こういう先行きのことにはなにも返事は帰ってこない。無視だが、今回は珍しく少しだけ話してくれた。
「・・・お前たち人間とわれらでは物の見え方が違うのだ。
我らの目には疫鬼は天を這いずり回る白い霧のような大きな化け物とでも言っておこうか。
疫鬼はもともとこの世界に常にいるものではない。
別な世界から割れ目を見つけてはいってくるのだ。
その大きいことは台風よりも大きく、そのかたちはとても長いものだ。
お前たち人間が天空を汚したおかげで奴らは歩きやすい。方々這いずり回っている。
方々行って長い舌を伸ばして地上を嘗めるとそこから穢れて病が広まるのだよ。
奴は天空の汚れていない清らかのところでは動きが鈍るものだ。
だが下手にいじればちぎれて増える.故、面倒な化け物だ。
殺せるようなものではないが、ひとしきり暴れればまた元の世界に戻るのが普通だがな。ほうっておくわけにもいかないから早く追い立てて、出てきた天の割れ目に追い払うほかにはない。
まあ。こういう時には人間は人間でやることがあろう。
眼には見えぬが各地の神々は神々で各々動いている。
同じように我らには我らでまたやることがある。
だがちと厄介だな・・・」