金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

「鼠の宮」

きのうのお坊さんと電話でやり取りした。はじめての方だがお話を聞いてつくづくイヤになった。

お坊さん同士でも悪口の言い合い。誹謗中傷、嘘を言い立てて盛んに人を陥れようとする戦い。信者の取り合い、弟子の取り合い・・・くっだらない。この方はその被害者。

いったいそういう人たちは何のために僧侶になったんだろう・・・・?

 

でも考えたら昔は誹謗中傷どころか、槍や刀で坊さん同士が殺し合いした時代もあった。

恥ずかしながらうちの本山「三井寺」(園城寺)なんかもその最たるもの。

有名な山門・寺門の戦い!教科書にも出てくる。

これだってバカバカしい勢力争いだ。

 天下の四大寺。南都の東大寺。興福寺。比叡山の延暦寺そしてわが三井寺。

皆同じようなことしていた。

 

三井寺山内に「鼠の宮」というのがある。十八明神という竜樹菩薩の所説により十八菩薩に当てはめた日本の神々を祀る。

だがここが「鼠の宮」という理由は実は頼豪阿闍梨の尊霊を祈り鎮めているからだ。

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頼豪阿闍梨は平安中期のお坊さんで藤原道長、頼通親子の信任厚い三井の長吏・心誉僧正という高僧の弟子であった。

 

白河天皇の皇子誕生の祈祷をして成功。ご褒美として朝廷はなんでもと許すという。

それで道心厚い彼は三井寺に念願の「三昧耶戒壇」の建立を願い出た。

「三昧耶戒」とは密教の戒律、比叡山が円頓戒という大乗法華の戒律を第一にしているのに対して三井寺は密教の道場だからこの戒壇設立を願ったのだろう。

この願い、いったんは入れられたが・・・山門つまり比叡山方の横やりで中止となった。

 

三井寺にそれを許すなら比叡山は日々努める鎮護国家の祈祷も皇室護持の祈祷も金輪際断るとすごんだ。三昧耶戒壇を許す白河天皇を比叡山の密教守護神。赤山明神が弓で狙うシーンも出てくる。神様まで戦争に参加している!こりゃかなわん!

結果取りやめ。

これを深く怨んだ頼豪は調伏護摩を焚いて自分の祈祷で生れた皇子を呪い殺して自らも憤死したと伝える。

説話では自分の頭部を金剛杵でうち砕いて脳みそを護摩炉に放り込んだというからすごいね!

さらにそれだけではおさまらず、頼豪の怨霊はさらに「鉄鼠」という鉄の牙を持つ妖怪ネズミに化生し、八万四千ひきのネズミ軍団を率いて比叡山の堂塔や経蔵を食い荒らしたという伝説がある。

故に頼豪=鼠の宮なのだ。

この頼豪さんが物語では木曽義仲の息子・義高に鼠の妖術を授ける話もあるそうだ。

 

昔からそんなふうなんだね。

ああ、いやな渡世だなあ。

 

いっそもう出家でもしたい・・・?(笑)