カミダーリーというのは沖縄文化独特の憑依現象のことです。
私が駒澤大学で文化人類学の講義を受けたシャーマニズム研究の大御所・佐々木宏幹先生はこの研究をされていて、当時、調査では沖縄の女性の6割が多かれ少なかれそういう経験があるという結果報告がされていました。
どういうことかというと体がしんどくてだるい。医者に行くが治らない。
そのうち神様?か霊のようなものから指示がきて、どこそこの御嶽(沖縄の霊場)へ行けという。
沖縄に御嶽(ウタキ)とよばれる霊場が数多くある。
行ってみると祠とかがあるわけでもなく、海の近くや岬や森の中の何の変哲もないところが多い。
中には有名な斎場ウタキのような巨岩の周囲に展開するものもあるがそういうのはむしろ稀です。
それで御嶽に行くと治るかというとそうではなく、次の御嶽に行くように指示される。その場で指示されるか。またしばらくあって指示されるかは色々です。
そうやって方々御嶽巡りをするようになる。
そのうちほとんどの場合、カミダーリー自体は薄皮をはぐように治る人が多いのだがごくごく少数の人にはますます敏感になって、しまいにはその道に進んでプロの「ユタ」と言われる民間宗教者になることもあるらしい。
( このユタも沖縄の人の話では内地からきてた占い師が勝手に名乗ってユタをやったり、
逆に沖縄から来たというだけで内地でただの占い師がユタとか自称しているケースもあるらしいです。
あるいはユタはユタなんだけど従来はしないカード占いとかもするケースもあるようです。
要するに卓越した霊能だけでやれる人をともかく時代の要求がユタという枠組に収まりきらないのだろう。)
でもこれは実は沖縄だけでなく内地にもあると思う。そういう現象が認められていないで、受け皿がないだけで。
よくあっちで呼んでる。こっちで呼んでるという女性は多いです。
かならずしもカミダーリーのような症状は伴わない。
で、行くけどこれといってなんにもあるわけじゃない。
行けば次の指示が来るだけ。
神様が現れるのが見えてなんかほめたり授けたりするわけでもない。
こういう人は男性でもいないわけじゃない。
沖縄では自分らをウチナ―(沖縄)というのに対し内地の人間をヤマトンチュという。
ヤマトンチュ版カミダーリーです。
沖縄では民俗文化として定着しているが、内地の場合は聖地参拝ツアーやスピリチュアルな講座などを転々とすることで解消しているのだろう。
ただし、多くはそれが客観的にみれば特別何にもならないという点は同じのようにみうけられる。
こういう現象を自分は特別な霊感があるとか、神に導かれていると早合点すると人生の貴重な時間を無駄にしたり、つぶすことにもなりかねないのでそこは注意したいですね。
これは沖縄では特別なことではなく普通あることと認識しておくことも大切だと思います。