若いころですが「どうせ死ぬなら人間どんな生き方をしてなにをしても無駄ではないか?」という人がありました。
そうですね。
死なない人も生き物も存在しない。
どんなに良いことをしても悪いことをしても死ぬのは同じこと。
生きるということと死ぬことはセットです。
でも、あなたという人間は言い換えれば死ぬことで完成します。
絵も小説も書き上げれば筆はもういらない。
もう筆はおかれる。
でもそこにはあなたという人物像が完成します。
絵描きも小説家もどうせ書き上げれば終わりだからと筆を執らないことはない。
まだ見ぬ完成に向かってひたすら筆を振るう。
それは生きることと同じ。
小さな絵でもよい絵もあれば、大きいだけでつまらぬ絵もある。
長い小説でも駄作もある。短くても感動を呼ぶ傑作もある。
まあ、できるならなるべく長編で傑作ではありたいですね。
もう一つ大事なこと。
本当のあなたは絵や小説そのものではなく、実はそれを書いているほうなのです。
仏教はこの世の死は本当の終わりじゃない。
輪廻転生による長い生命の旅路を説いています。
それは今の人生と別ではない。作品はすべて作者を物語るものです。
良い旅行が終わったら次もまたより素晴らしい生命の旅路に行きましょう。