霊狐さんてどんな存在だろう。
霊狐さんは心ひとつで六道皆そのままに修行という。
「被毛四足で何も持たず、数珠も幣もとらずして神仏に仕えるのだ。それが霊狐だ。
鬼畜には鬼畜の修行あり、修羅闘諍にも修羅闘諍の修行あり。
三悪そのまま修行の道だ。
だがな。この身はこのまま、数珠ともなり幣ともなる。
吾らはこの身このまま神ほとけの御前をも憚らず。鬼神天魔にも驚かず。
浄もなし、不浄もなし
そう思えばかえってゴテゴテと道具立ての要る人間の身は不自由なものよ。」と言われた。
霊狐さんの言うことを聞いていて修験の十界修行に思い至った。
修験の世界では地獄も修行。餓鬼も修行。
してみれば霊狐とは菩薩道の中の畜道か。
はたまた畜中の菩薩道か。