普賢菩薩の十大願は華厳経に出てくる全ての菩薩道を歩む者の規範とされてきた教えです。
その第一が礼敬諸仏です。
諸仏を礼し敬いたてまつる。
仏を一仏に限らないという姿勢がその第一です。
以前「念仏の信仰をしていましたが、その時は阿弥陀一仏だけが我々を浄土に導くとききました。ですが、のちに日蓮宗系の方から阿弥陀は娑婆有縁の仏ではない。釈迦如来の正法である法華経こそ唯一の教えです。阿弥陀様なんか拝めば地獄に行くといわれました。一体本当はどうなのでしょうか？」と聞かれた。
「それをなぜ私に訊くんですか？浄土信仰していて日蓮宗の教えによって迷いを起こし、それをまたわからないからと今度は天台法門の私に聞く。・・・聞いてどうするのです。たぶん迷いはとけるどころか、より深まると思いますよ。」といったことがあります。
そう言ったうえでそれでも聞きたいですか？というとうなずくので
「私の場合は諸仏を礼するという立場ですから、釈迦もよい、阿弥陀もよい。大日でも薬師でもよいと思う、因みに私は観音信仰です。」といった。
その人は大いに不思議がって「観音様は菩薩ですよね、菩薩を拝んで極楽にいけますか？観音様が阿弥陀様やお釈迦様より上なのですか？」と聞かれた。
「観音様でも、お地蔵様でも、お不動様でもいいと思いますよ。」
「それってちょっとおかしいでしょ。本当に救われる仏様は誰か一人では？」
「私に言わせればアンタの方がよっぽどおかしい。そもそもどうして一人に限らないといけないのですか？」
「諸仏は皆浄土へのガイドですよ。
では尋ねるが・・・あなたはどこかに旅行に行ってガイドを頼むのにたくさんいる中の一人のガイド以外は皆ニセものだと思うのですか？
勿論頼むのは一人で十分かもしれないがそれでその他の人がダメとか言えないでしょ。
一仏以外救われない？
もし本当にそうなら私は仏教自体信仰するのをやめます。
だってお釈迦様はもちろん、阿弥陀様も観音さまもお不動様もみなお経に出てくる方々ですよ。それじゃあ、お経自体がほとんどでたらめということでしょう。そんなもんどれひとつ信じられませんから。」
