私の武術の師匠N先生は色々な意味で恩師でした。
昭和6年生まれ、数年前にもうなくなっています。
この世代の人からよく聞くのは戦争と終戦のどさくさの青春時代。
「だから青春なんか私たちにはなかったんだよ。」と言う方も言う。
でもN先生はちがっていました。
「そいつはウソだ、どんな青春でも青春は青春だ。大変だけど振り返れば、その大変なのもそれなりに青春なんだと俺は思う。」といわれた。
私は戦後世代だからそこは分らないけど…たぶんそこはおっしゃる通りなのだと思う。
だって、今も戦いの続く中東でも子供や若者の顔はくもったものばかりじゃない。
やぶれた着物に粗末なパンなんか頬ばって日本ではお目にかかれないような太陽の笑顔の子供も沢山いる。
若者はどんな時代でも希望さえあれば光っているもんだ。
三男だったN先生はその後もお母上からほうぼうに小僧にだされて水難にあったり怪我したり・・・
実際N先生からそのころの「いやあ、大変だった!」と言う話をおもしろおかしく笑い話のように話しされることはあったが、だからどうだこうだという泣き言は一回も聞いたことはなかった。