稲荷信仰独自のお供物に油揚げがあります。
これはもともと太古の昔に米粉で揚げた「ふとまがり」と言う神饌の代わりに普及したものらしい。聖天さまの歓喜団もその一種です。
狐は油揚げなどは食べません。うちは飼っているからわかる。
雑食性の強い砂漠のキツネ「フェネック」も食べない。
砂漠は好き嫌いしてたら生きていけない環境。
なにより油が嫌みたい。
「油揚げキライ」
でもおあげを上げるとお稲荷さんは喜ぶ。その心を喜ばれるのだろう。
故にお使いの狐さんが油揚げ揚げろと催促してくることはある。
「梓」霊狐の話では下位の霊狐さんは何にによらず多くものあがれば無邪気に喜ぶ。
だが上位の霊狐に行くにしたがって心根の悪いものの神饌はうけない。
金銭だろうがものだろうが「汚らわしい。さっさとさげろ。」といわれるようだ。
稲荷は神階を徐々に上げて祀ると言うが、それは心の浄さもまたましてこそだという。
ただ神階だけいたずらに挙げても意味などないぞという。
はじめから外宮、玉垣で豪勢に祀っても「神は非礼をうけぬ」という。
「『あげ』を稲荷に供するは心浄の浄きを上げよとの意味だ。油揚げばかり大量に上げても心浄まらざれば稲荷は受けぬぞ。( 神に対し )好物で獣を釣るような愚かな考えは捨てることだ。」という。