わたしが学部にいたころ「禅心理学」というのがあった。
禅で深い三昧に入っているとアルファー波やシータ波が出る。
そういう事実がある。
私の場合は座禅ではないが一時は脳波測定器をつけて念誦もし、祈願もしてみた。
そういう実験的なことをかなり長くやってみた。
確かに印を結び真言を唱えるとそうした脳波は出しやすい。
そういう方法で意識的にそういう脳波は出せるが、祈願の効き目とは直接何の関係もない。
此の体験からましてやアルファー波やシータ波が出ていることで悟っているなどとは言えないと思う。
関係はあるだろうね。まったくないなどとはいわない。ただイコールではないと思う。
それは悟りとの相関関係を示す一つの資料でしかない。
三昧から立ったからと言って悟りの智慧は脳波がどうあれ消えるものではない。
思うに体験的にそういう脳波が出せるようになるだけで脳の活動領域は大きく広がるのだと思う。
いったん拡大した脳の領域は日常的に、たとえばベータ波領域でもそれは作用する。
そんな風に思う。
だとすれば、そういう意味ではそうした脳波を出せるようになることは大いに有益だとは思う。