金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

毘沙門天と忌伏

忌中で天部は拝めませんが、十一面さまに付属し脇仏として不動尊と毘沙門さまだけは拝んでいます。

無論「浄めの大事」と言う作法をしてからですが。

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毘沙門天を含む四天王は葬儀作法のなかではなくなった亡者を加護して登っていくという場面もあり、私的には死者を嫌うイメージが少ない天部です。

また体験から鬼類の上首である毘沙門天ですが。眷属であるヤシャと言うのは多分に死んだ方ののちのある種の姿とインドでは考えられました。

インドでは死に方によっていろんな鬼神に生まれ変わる。

彼ら鬼神の多くはナーガや迦楼羅のような動物神を別にすれば亡者の一種といえなくもないようです。

例えばインドではダーキニーはお産で死んだ女性に霊がなると言われている地方もある。鬼子母神もそうですね。

その鬼子母神の主神でもある毘沙門天は別な目で見れば死んだ者たちの元締めでもあるのだと思いますね。

始めて毘沙門様を勧請したとき、やたら施餓鬼を頼まれた。それもそういうことだと思う。餓鬼も鬼なので。

天部の独尊で唯一脇仏として如来や菩薩に付き従う毘沙門様。

脇侍の天部と言えば外は四天王・仁王さまくらいです。

回向寺でもよく見ますが葬儀があるからと言って、わざわざ毘沙門様に覆いをかけたり本堂から出したりしないでしょう。

それでいい天部なのだと思います。多聞天の別名の通りすべての説法の法会に列座したという方です。(もともとの言語では多くの名を持つ天の意味だとか)

むしろいかなる時にも拝むべき方なのかもしれません。