金剛経も理趣分も大般若経のうちです。
金剛経は能断金剛分巻第五百七十七、独立して金剛般若経という。
理趣分は続く般若理趣分巻第五百七十八でこちらも大般若600巻の白眉と言う。
この二巻はつづいています。
つづいているのには訳があると思うのです。
下し読みにしたら判るけど
金剛般若経は般若をとても丁寧に解説している。手を変え品を変え、般若の智とはは何かをとことん教えてくれるお経。
その意味では般若経の原点的な部分がここに集約されている。
これは般若心経などよりはるかに理解できる。
これに対して理趣分は深遠にして難解だが般若を縦横に自自に説く。
まるで天を舞う龍のようなものだ。
テキストで言えば基礎編と応用編。
武芸で言えば基礎の型と秘伝技。
基礎の徹底理解なくして応用も秘伝もない。
応用も秘伝も基礎を離れたり、捨てるものではない。
逆にいかに基礎の基礎たるかかが判るというものです。
以前、理趣分の内容を教えてくれと言う人がいたが、それを知りたくばまず金剛経を徹底して読むことです。
書道で言えば金剛経を楷書とするなら理趣分は草書のようなものです。
だからまず金剛経に親しんで理趣分に接することは大いによいと思う。
楷書の字が判らずして草書は読めない。
読むと言ってもどちらも百回千回読んでも音読みしているだけではわからない。
是非訓読してあじわってみてほしいものです。