猪面の女神と言えばヴァラーヒー、ビシュヌの化身ヴァラーハの配偶者ですが、
チベット仏教ではバジュラヴァラーヒーと言うダキニの親玉。
でも普通の人間顔の女神で頭の横から猪面が出ている。
これが絶叫すると悪神も妖魔も畏れなびくという。
この像は猪面なので初期のものかも。
ヒンドゥー叙事詩の「デーヴィーマーハートミヤ」では阿修羅と戦う八人の女神でビシュナビーとチャームンダーが猪面。
チャームンダーの可能性もなくはない。
チャームンダーはシヴァの女神で強力無比の悪魔チャンダとムンダを滅ぼしたのでこの名がある。日本では閻魔八眷属の「遮文荼天」として知られる。
インドのチャームンダーは普通やせこけた死神のような風貌でフクロウに乗る墓場の女神だ。
猪面は珍しい。
しかし、この神様の足元に注目したい。足元には水牛を踏んでいる。これはシヴァの象徴。
シヴァを踏んでいる有名な女神カーリーはシヴァの妻だ。
ここでもシヴァの象徴である水牛を踏むこの女神はヴァラーヒーでなくチャームンダーとみるべきかもしれない。