宗教とは生死を超える価値観を持つ教えです。
外の学問は死の前では立ち往生となる。
哲学では死とはなにかには答えても、宗教のように死への対処できない。
陰陽道は日本独特の神秘思想だが宗教になるまで行かなかったのは生死を超える価値観が確立できなかったからだろうと思う。
初期道教の信仰が日本に伝えられて神道の形式を作った。
これに対し天文歴道を扱う陰陽道はむしろ当時の科学だったといっていい。
だから現世のことには強いがあの世までは関わらない。
陰陽五行を基盤とする多くの占いが死後のことまで扱わないのと同じことだ。
平安時代、陰陽道も泰山府君などの道教神の導入で徐々に道教化していくが、死後の存在を否定はしなくてもギリギリ死後の問題までは明確に扱わなかった。
その多くの世界観を仏教と共有してともに進んだが、独自の世界感を明瞭にしないために遂に一個の宗教にはならずに表舞台からも消えていった。