私が死刑を否定しない理由。
ひとつには死刑は一面人間を人間に立ち戻らせる最後の機会だと思うからだ。
もし死刑判決がなければこの受刑者は変われただろうか?
人が人として到底許されない理由の殺人行為を行えば、死を持って償うべきは人間の真心の表れであると思う。
この受刑者は非常な変化を見せていることは幸いだ。
だがだからこそ助命すべきとは少しも思わない。
そんなことをするのは受刑者の心にまたも邪心の炎をともしかねないからだ。
死あってこそだ。
実際この受刑者が殺されなかったとしてもいい。
死刑囚でいるべきだ。死刑囚という名の終身刑でもいいし、むしろこの受刑者のようなったらそれが望ましいかもしれない。
実際に死刑になって死するか、獄中で寿命尽きて死するかはさほど重要ではない。
目前に迫る死は人をすべて裸にする。死の前にはいかなるごまかしも通用しない。
弁護に弁護を重ね、いかに不自然で無理な言い分も通して、悪魔として生きるより人として死んでいくことの選択が大事だと私は思う。