最近、勢至菩薩を拝む機会に恵まれたが、一説には筑波山と富士山の女神は同じであって、欽明天皇の娘、かぐや姫であり、北天竺の金色姫の化身である。
もともとはつくばの神が富士山に移動して浅間大菩薩になったという。
これは蚕神であるという。本地は勢至菩薩。
習合思想における勢至菩薩には航海の神、月待ちの神、養蚕神の顔があり、そのむかし第一次産業では極めて大事な神だった。
何故蚕神が勢至菩薩なのか?蚕蛾は夜の虫であり、月と関係する。
勢至菩薩は月天の本地でもある。
また勢至菩薩は午年の守り神で蚕の幼虫は体側の模様が馬の目に見えて、そのために古来、馬に見立てられた昆虫だからである。
これは遠くは中国の「蚕馬」伝説に由来する。
この話は人間の女性と馬の異類婚譚であり、日本にも伝わって東北地方では「おしら様信仰」として知られている。
また富士山には聖徳太子が黒い馬に乗って登り、信濃まで行ったという話がある、これは「黒駒太子」として知られ、聖徳太子もまた一説に本朝養蚕の祖神ともされる。黒駒はすなわち蚕であり、蚕の一令幼虫つまり生まれて間もない三日ごろまでの幼虫は黒いのである。