イタリアの巨匠 フェデリコ・フエリーニ監督の「道」という映画。
古い映画です。
白黒の映画で、家を救うため、貧しい家のジェルソミーナがわずかなお金で粗野な旅で稼ぐ大道芸人のザンパノに相棒として付き従って旅をすることに。
屈託ない彼女は最初はザンパノが大嫌いだったが、しだいに無口で乱暴な彼に好意さえいだくようになる。
だが、「自分が少しは好きか?」と尋ねる彼女に、ザンパノは「くだらないことを言わずに、とっとと寝ろ。」というのみ。
そんなザンパノはある日、常にジェルソミーナにと親しげにしていた芸人を旅路で殴り殺してしまい、闇に葬る。
彼はザンパノとは全く違うタイプの男だった。明るく軽快でジョークが好き。
彼は無口なザンパノをよくからかって怒らせた。
芸人小屋の幕内でもたびたびふたりはトラブルを起こしていた。
自分が嫌いなこの男から親しげにトランペットと曲を習っていたりしたのがザンパノは気にいらなかったのだ。
だが「本当はザンパノはあんたに惚れてるんだよ。」とかの彼女にザンパノの心の内を伝えてくれたのも彼だった。
「殺す気はなかった。たった二発殴っただけなのに死んでしまった。」とザンパノは釈明する。
これを見ていたジェルソミーナはあまりのショックで以後おかしくなってなってしまい、ザンパノは毛布とわずかなお金を置いてそんな彼女を野外に置き去りにして旅を行く。
数年後、彼女が吹いていた曲を歌う声を偶然耳にしたザンパノは、ジェルソミーナの消息を知っているかもしれないと思い尋ねると、歌っていた女性は彼女は4,5年前に死んだという。海岸で倒れているところそこの家のおやじに介抱され、しばらく一緒に暮らしていたが数年ののち急に死んだらしい。
愛を知らなかったザンパノはその話に初めてジェルソミーナへの思いと自分の孤独に目覚めてその夜、彼女が倒れていたという海岸でひとり慟哭するのであった。
人は誰であれに身近な存在を失って初めて相手のそして自らの「愛」を知ることも多い。
この人がいなかったら…と時々考えてみることも大事だ。
猫でも犬でもそうだ
いるうちは気が付かない。
この「道」という題名は愛に気が付かない帰結の道を表しているのかもしれない。