前にもアップしたが弟子がハチ式(蜂を使う呪術)を打たれて真冬なのにスズメ蜂が飛んできて刺されることがあった。スズメバチは二度刺されると命にもかかわるといういう。
これが呪術だと思うのは夢の中でまず蜂に出会うのだそうだ。
それで呪詛返しをして置いたら、一年後に術の期限が切れたおりに即座に刺された。
なんだか怪談「牡丹灯篭」みたいな話だ。
呪詛を時限的で止めておいた形になっていたのだろう。
こういう動物を使う呪術をざっくり式法という。
これに大別して現実の動物を使うのと、動物の死霊を使うの二とおりある。
蜂やムカデを使う話は日本神話にもあるが、これは陰陽道か、神道系だろうと思っていた。民間のまじないに多い。と言ってもプロのやることだ。
それもかなりのものでないとここまでは無理だろう。
密教にはそういう実際の生き物由来の術のはない。修験にも。密教系は護法と言われる霊的眷属を遣る術はある。
飯縄の法は狐だがこの世の狐を使うものでも、死んだ狐を使うものでもない。
霊狐もまた眷属霊だ。
さてはて、どんな術だか知らないが・・・と思っていたら灯台下暗しだ。
どうも伊弉諾流らしい。四国は高知淵源の呪術。
私は伊弉諾流は知らないが祖父がその使い手だった。
誤解を避けるため一言するが、もちろん伊弉諾流は断じて呪殺の術ではない。密教に調伏があるようにほんの一部にそうした術があるだけで、多くは問題解決のための優れた術である。
だが、その効き目はすさまじいので師匠の話では「四国の修験者は高知の術者(伊弉諾流)とはケンカしたがらない」という。
今はないだろうが師匠の若いころは子供でも「蛇付けてやるぞ!」くらいのタンカはきったらしい。
似た術を勉強しておく機会があったがコロナで延び延びになっていた。やはりやっておこうと思う。
まあ、それにしても有名な犬神のように生き物を犠牲にする術だけは当然、殺生戒に触れるし、断じてやりたくもない。たとえ巨万の富を引き寄せられ、それがどんな善事につかえたとしても、それは仏教者のすることではない。