この行者さんにこの法こそ授けてあげたいと思ってもその人が法に見合わないと空振りする。
例えばお金に事欠いているから増益のとっておきの秘法をと思っても授けても全く効かない。
敬愛法でも同じこと。
法は人の器に見合わねば効験がない。だから加行も終わってでいない人には小法なりと言えども授けないことにしている。
授けた法が効かず愚痴が出るのでは法を汚す罪になる。
本人はもとよりそれは阿闍梨の越三昧耶だ。
一応、得度してたり護身法伝授した人はついついそういう形で助けてあげたいと思うが、私の悪い癖と思って厳禁している。
そんなことしても助からないからだ。
霊狐さんからは「人を助けたいというが、そこにはお前がおのれを誇示したい邪心も手伝っているのだ。法はそのようにして授くべきものでも、受けるべきものにてもあらず。愚かしいことは止めよ。」といわれた。仏道修行というならそんな時、必要なのは秘法ではなくまずは人間修行なのだろう。
人間修行は様々だ。
決してダメな人だから修行しろというのではない。
人生経験豊富でもそれなりの修業がある。どこまでもある。
そういう時は修行の時期。手出しはならない。
むかし師匠の下に不動尊花水供を授かったら大きな霊験があったとの噂を聞いて伝授を願ってき坊さんがいたそうだが、「授かっても効験がない」と文句を言われたといっていた。
それだけの器がないのだろう。
何故それなら精進しようとは思わず文句を言うのか。
それだけ見てももう到底、法の器ではない。
