物事の良い面だけ見ていくのはなんか嫌だ。
ウソっぽいという人がいた。
もっともだ。
プラス思考は疲れてくる。嘘だからだ。
ウソだと自分で知っている。
ものごとには望ましい面もあればそうでないものもある。
必ずある。
だから良い面だけ見るのは知的な味方じゃない。
だが仏教では対立的に考えることはしない。
好ましいこともいつまでも善いと限らない。
悪いことも悪い面ばかりではない。
そういう意味では物事の表層を我々の感覚ひとつがとらえている世界だからこそ、そこに善悪の別がある。
善も悪になりうる。善も悪になりうる。
絶対な善も悪もない。
でも好ましきをもとめて好ましからぬ問題を排除していくのが世間の知恵。
善から悪を生まぬよう、悪から善を生むよう工夫するのが出世間の知恵だ。
別に出世間と言っても大したことではない。誰でもできる。
心のどこかにこうした心得があれば悪いことが起きてもさほどに慌てず、良いことがあったからと言って浮かれ騒ぐこともない。