日本では神と人の境界はアバウトだ。
精霊の落ちたものを妖怪と言い、昇華したものを神というのだと学部の民俗学で習った。
霊狐さんに言わせるとまた少し見方が違う。
「人に係わる役割を得た霊を神というのだ。
だから神には必ず○○の神という職能があるだろう。
幽世は食いはぐれというものはないから現世のごとく働かなくても死にはせぬ。
故に本当にこころざしある霊だけが神となる。
志あっても力少なき者もいる。ゆえに神とは言ってもその霊威は様々だ。
逆に妖怪や精霊の類でも神以上の力ある精霊もいる。
わが国でいう神とはそのようなものだ。神だからと言ってもなんでもできるわけではない。元は御前たちと大差ないのだからな。
ゆえに名のある神は極めて少なく、無名の神はその比でなく多いのだ。
無数というべきだな。」