この時期になるとゴキブリなどを殺していいかという質問いただくことがあります。
生き物というのはすべて他の生き物を押しのけて生きてる側面があります。
だからそれはしょうがないですね。
私はゴキブリをみつけたら直ちにたたき殺すこともある。だけど逆に水の中に落ちておぼれているゴキブリを助けることもある。
一貫してはいない。時には殺し、時には活かす。
矛盾しているね。
だがそれでいいと思う。
こんな話がある。
あるリクガメを飼っている人について怖い話をきいた。
リクガメの傷口から大量のゴキブリが入り込んで肉を食らい、はらわたが見えるくらいになってしまったという。一匹残さずに皆殺しにしてカメは病院に入院して治療。
ゴキブリは見ればこれという武器もない虫ですが、その貪欲が武器ですね。
この話を聞いたらゴキブリは見つけ次第殺そうと思うのも無理からぬこと。
ドンナ生き物でもそういう面がある。無害な面と恐ろしい面と。
だからただその時の気分で殺してはかわいそうとかでは本当の慈悲ではない。
かわいそう即殺してはダメではない。
私たちは殺しながら生きていく。
だからもうそれでいいのか?
いいえ、その生きていくゆえの業も懺悔しながら生きていくのが仏教です。
矛盾は矛盾のままに合理化せず手を合わせる心がそこにある。
手を合わせて、しかも殺さないといけないものは殺していくのが仏教です。
殺すにもかわいそうだが…といううちに仏教の心はあるのだと思う。