金翅鳥院のブログ

天台寺門宗非法人の祈祷寺院です。

映画「ラム」言い知れぬ思い

人間の体をした子羊が羊から生まれてしまう。

登場人物は3人だけ。

この奇怪な子に亡くなった子供の名前を付けかわいがる羊飼い夫婦、ふらりと帰ってきたその弟。

当初、主人公の弟は半獣の子供に驚異の目を見張り、これは人間ではないと拒否する。

なにかラストでこの奇異で不思議な子供の身の上に凄惨なことが起こるのか・・

と思ったがそうではなかった。むしろそれは・・・

まあ、結末からすればホラーで想っていたほどシリアスではない物語だが、舞台のアイスランドの自然がきわめて美しいだけでも一見に値すると思う。

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日本には「件」という妖怪がいる。人面牛の体。逆に牛面人身。

両説あるようだ。

くだんと読むが、なるほど、この字は人と牛からできている。

預言の力を発揮し、ただし短命だという。江戸末期や明治のはじめには瓦版にもなった。

人魚や河童と同じで生き物として実在するわけもないと思うが、何か人間の心の中に日頃ほしいままにしているモノ言わぬ家畜のいい知れぬ思いのようなものを感じるゆえに彼らの伝説は生まれるのだろう。

野獣ではないゆえにかえって業を感じる物語だ。